生物系特定産業技術研究支援センター
(24012) 日本海沿岸域におけるリアルタイム急潮予測システムの開発
事業名 | 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ) |
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実施期間 | 平成24~26年(3年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
日本海区水産研究所、新潟県水産海洋研究所漁業課、石川県水産総合センター、京都府農林水産技術センター海洋センター 、鳥取県水産試験場、鳥取県漁業協同組合、福井県水産試験場、福井県立大学、九州大学応用力学研究所 |
作成者 | 水産研究・教育機構 日本海区水産研究所 井桁 庸介 |
1 研究の背景
日本海中部沿岸域は日本有数の定置網漁場であるが、近年毎年のように「急潮(沿岸付近に生じる突発的な強い流れ)」による被害が発生し、地先漁業へ大きな打撃を与えていた。
2 研究の概要
急潮による漁業被害を大幅に削減することを目的に、急潮の発生要因を解明し、急潮のモニタリング体制の整備、急潮の予測モデルの構築を行い、その情報をリアルタイムに公開するシステムを構築した。
3 研究期間中の主要な成果
- 高解像度海洋数値モデルを使用し、7日間先までの日本海沿岸の流動を高精度に予測するシステムを構築し、それを自動運用すると共に、情報提供を可能にするシステムを構築・運用した。
- 福井県 (若狭湾) に潮流等のリアルタイムモニタリングを可能にするブイを新設し、既に運用していた鳥取県沿岸のブイと併せて、急潮のモニタリングを行う体制を構築し、その情報をリアルタイムに提供した。
4 研究終了後の新たな研究成果
5 公表した主な特許・品種・論文
- Hirose, N. et al., Numerical simulation of the abrupt occurrence of strong current in the southeastern Japan Sea, Continental Shelf Research, 10.1016/j.csr.2016.07.005, 143, 194-205, (2017)
- Kaneda, A. et al., Sudden strong current generated by an eddy in the eastern part of Wakasa Bay, Japan., Journal of Oceanography, 73: 181. (2017)
- Igeta, Y. et al., Transition of the Tsushima Warm Current path observed over Toyama Trough, Japan. J. Phys. Oceanogr., doi: 10.1175/JPO-D-17-0027.1 (2017)
6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
2015年3月~2019年12月におけるWebページへの累積アクセス数
- リアルタイム急潮予測システム (上記41) 173,163件
- 福井県情報提供 (上記423) 32,000件
- 鳥取県情報提供 (上記44) 125,465件
(2) 実用化の達成要因
研究に対する潜在的なニーズが強かった。加えて、研究終了時の研究成果の達成度は非常に高かったため、プレスリリース等を行う際に、統一した (ぶれない) 情報提供を長期間にわたって出来たため。
(3) 今後の開発・普及目標
本事業で構築したシステムは完成度が高い。Webサイトを通した情報発信を継続することで持続的な効果を期待できる。システムに対する誤解釈が広がる場合があるので、それを修正する仕組みを作る。
7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
定置網被害の低減、出漁の効率化等が達成され、定置網漁業経営のリスク軽減等につながる。それが経営に対する重圧を低減し、日本海側の基幹産業である漁業の維持に対する貢献に繋がる。