生物系特定産業技術研究支援センター

(ICT 1) 情報工学との連携による農林水産分野の情報インフラの構築

事業名 革新的技術創造促進事業(異分野共同研究)
実施期間 平成26~28年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
愛知学院大学、愛知工業大学、愛媛大学、信州大学、中部大学、名古屋大学、三重大学、愛知県経済農業協同組合連合会、愛知県農業総合試験場、NPO 法人東海地域生物系先端技術研究会、豊田市、株式会社サンライズファーム豊田、浜松ホトニクス株式会社、三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社
作成者 名古屋大学 大学院情報学研究科 北 栄輔

1 研究の背景

日本の農業の置かれている状況には、稲作、畑作、施設園芸等において、幾つか解決するべき問題がある。本研究プロジェクトでは、これらの問題を解決するために、センサーネットワーク、IT、情報機器を用いたスマート農業、篤農家の暗黙知を形式知化とするAI農業を進めることを目的としている。

2 研究の概要

センシング層、基盤情報サービス層、ユーザーサービス層の3階層からなる農業情報基盤システムを実現する。センシング層にあるセンサーを用いて農作物の生育情報、生育環境情報などを取り入れ、基盤情報サービス層に配置したクラウドサービスに格納する。その情報を用いてユーザーサービス層では、農作業者にサービスを提供する。

3 研究期間中の主要な成果

  • 実用化レベルにある生育環境センサー (気象ステーション、土壌水分センサー) を選択して実証試験を実施した。これらを第2層と繫ぎ込み、第3層で情報提供を行い有効性を確認した。(センシング層)
  • クラウド上にセンサー情報基盤サービスを構築し、多様なセンサーデータを単一の世界標準APIにおいてとりまとめて、アプリ群に提供した。(基盤情報サービス)
  • 本プロジェクトの第1層と第2層と第3層を繋ぎ、その相互運用性を実証・評価する実用的なアプリとして、稲作作業全般のスケジューリングをサポートする「e-栽培暦」「トマトの生育状況監視サービス」等を開発した。(ユーザーサービス層)

4 研究終了後の新たな研究成果

  • 基盤情報サービスで開発したセンサー情報基盤サービスの技術を、プロジェクト終了後にベンチャーとして起業し、複数の企業にサービス提供している。
  • ユーザーサービス層で開発した「トマトの生育状況監視サービス」は、ベンチャーとして起業し、複数の農業法人にサービス提供している。
  • 本プロジェクトで得られた知見を元に、その後に他の受託研究において発展させている。

5 公表した主な特許・品種・論文

  • 公開番号 : 2017-163956, 予測方法、予測プログラム、及び、予測装置 (出願人 : 名古屋大学)
  • 公開番号 : 2017-181300, 農作物観測方法、農作物観測装置および農作物の生産方法 (出願人 : 名古屋大学)
  • 公開番号 : 2018-161058, 植物の生育状態評価方法、植物生育状態評価プログラム、植物生育状態評価装置ならびに植物モニタリングシステム (出願人 : キッセイコムテック、信州大学)

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • ListenField 株式会社を起業し、日本と母国(タイ国) においてサービス提供を開始しており、複数企業に成果を提供している。
  • 施設栽培トマトの生育状況監視サービスを提供している。これは、プロジェクト期間中から企業化したものであり、愛媛県を中心に複数の農業法人に提供している。

(2) 実用化の達成要因

第4次産業革命や Society 5.0 の進展に伴って、IT / IoT / AI を用いて農業の情報化を推進した。

(3) 今後の開発・普及目標

各種の予算獲得を通して研究を継続する。また、企業との共同研究を通して出口を意識した研究開発を続ける。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

農業の情報産業化は、Society 5.0 の革新的研究分野である。この技術開発は、日本の産業構造の革新のために必要である。これにより、新たな産業分野を創出することにつながる。

(ICT 1) 情報工学との連携による農林水産分野の情報インフラの構築