生物系特定産業技術研究支援センター
(c012)ICTブルドーザによる低コスト水稲直播技術の確立
事業名 | 革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト) |
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実施期間 | 平成28年~29年(1年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
石川県農林総合研究センター |
作成者 | 石川県農林総合研究センター農業試験場 永畠 秀樹 |
1 研究の背景
石川県における水田作において生産者の高齢化が進み、担い手への農地集積が加速していることから作付面積の拡大に対応するため、米の生産コスト削減技術が求められている。
2 研究の概要
- ICTブルドーザによる水田土壌タイプ(砂壌土、壌土、埴壌土、埴土)に応じたほ場均平作業体系の構築。
- ブルドーザ1台による乾田V溝直播栽培における作業精度および効率を高めるための技術体系の構築。
3 研究期間中の主要な成果
- ±15mmの精度で均平が可能な田面下10cmの地耐力および作土15cmの含水比は壌土で270KN/㎡以上、含水比41%以下、埴壌土では地耐力290KN/㎡以上、含水比39%以下であった。
- 適正な播種作業が可能な田面下10cmの地耐力および作土15cmの含水比は砂壌土・壌土・埴壌土で地耐力330KN/㎡以上、含水比41%以下、埴土では地耐力350KN/㎡以上、含水比50%以下であった。
4 研究終了後の新たな研究成果
- 革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)「建設機械を活用した低コスト農業利用技術の確立」において農業ブルドーザを活用し、機械コストが1/3以下となるような利用体系を確立した(H29~H31)。
http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/brain/h27kakushin/keiei_subject1_01_2019.pdf
- 上記の研究成果は「建設機械の農業利用による生産コスト低減」概要編、作業マニュアル編、動画集として取りまとめ、技術普及資料として活用している。
5 公表した主な特許・品種・論文
- 吉田敏之 ICTブルドーザーの農業への利用 電気設備学会誌 Vol.40 No.10 630-633(2020).
- 奥池伸隆 農業ブルドーザの活用に向けた取組について 農土石川 第58号 22-25(2020)
6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
- 「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」において大規模実証(実証課題名:大規模水稲経営体における農業ブルドーザとドローンを活用したスマート農業技術体系の実証)を実施。
- 普及組織が中心となって「農業用ブルドーザ普及研究会」を立ち上げ、農業用ブルドーザの導入モデルごとに現地実証を実施中である。
(2) 実用化の達成要因
農業ブルドーザに関する技術指導や普及の仕組みづくりについて、県の普及指導計画に盛り込み、重点指導事項に設定している。
(3) 今後の開発・普及目標
農業ブルドーザの普及推進に加えて、農業者が操作技術を習得できる場として「農業ブルドーザを活用した農作業研修」を開講し、その運転操作に必要な作業資格取得費の支援も実施している。
7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
これまでの研究成果の中で、農業ブルドーザの活用モデルとして建設業との共同利用モデルで試算した結果、農業分野に係る機械費がトラクター利用に比べ約1/3となる結果が得られた。
その際、農業ブルドーザの適正な利用時間は200時間/年であり、経営面積は50ha程度となった。両業界で従業員のシェアリングやほ場均平、畔倒し作業の受託作業を請け負うことで収益向上が見込まれる。