生物系特定産業技術研究支援センター

(c027) 「甘味」と「香り」に焦点をあてた世界一えだまめ産地づくり

事業名 革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)
実施期間 平成28年~28年(1年間)
研究グループ
(研究終了当時)
山形大学、山形県
作成者 山形大学農学部 片平 光彦

1 研究の背景

えだまめの剥き豆加工では小型莢剥き機が利用されているが、損傷粒や薄皮などが混入するため手作業で選別を行っている状況にある。選別作業の長期化は味や香りなどの品質に寄与する成分の低下を招くため、高品質化に向けた高効率で高精度な精選装置の開発が必要である。そこで、えだまめ莢の選別装置をベースとして、莢剥き機から得られた損傷粒や薄皮、変色粒、未熟粒を判別する画像処理アルゴリズムを開発する。

2 研究の概要

えだまめの剥き豆加工品の高品質化に向けた高効率で高精度な精選装置の開発機での選別試験では選別率が0.17、良品判定率が0.39、不良品判定率が0.78、着色粒判定率が0.88、形状判定率が0.76であった。

3 研究期間中の主要な成果

  • 豆の形状(長さ)情報を基に破砕粒などの検出、RGBと輝度値情報を基に薄皮と変色粒を検出する複合型画像処理アルゴリズム、判別情報を基に良品と不良品にエアで分類する選別機構、剥き豆投入時に豆の整列と分離を行う振動フィーダと搬送コンベア(1段)で構成した剥き豆精選装置を開発した。
  • 剥き豆の選別では豆の長辺画素数、Gの波長帯で着色度合いを分類する閾値処理をそれぞれ組み合わせることで、選別が必用な粒(薄皮、変色、破砕)を検出できた。
  • 庄内5号と秘伝の剥き豆選別実験では、選別率が0.04~0.17、良品判定率が0.13~0.67、不良品判定率が0.42~0.93、着色粒判定率が0.67~1.00、形状判定率が0.40~0.93であった。

4 研究終了後の新たな研究成果

えだまめを選別するための人工知能(AI)を作成するには、使用するデータセットに良品と不良品の両方を含める必要がある。

5 公表した主な特許・品種・論文

特願 2017-500739 莢果選別システム、莢果選別装置及び莢果選別方法 発明者:片平光彦・伊藤大輔・高橋史夫

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

実用化・普及の実績

全国で当該選別機の販売台数10台。価格は700万円/台 で販売金額約7000万円。年間の処理量は約300t、ランニングコスト12万円/年の条件で試算した場合、3年での償却(オペレーター不要)が可能。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 科学技術的波及効果:エダマメなど農産物の選別に画像処理などICT技術が導入されるきっかけとなった。
  • 経済的波及効果:エダマメの調製作業の効率化による栽培面積の拡大、剥き豆など加工用途の拡大による農家所得の増加。
  • 社会的波及効果:産地の高齢化対応や担い手育成に寄与した。
  • 人材育成効果:ICTやAI技術者の育成に寄与した。

(c027) 「甘味」と「香り」に焦点をあてた世界一えだまめ産地づくり