生物系特定産業技術研究支援センター

(c093) 自給飼料を用いた新規離乳子豚用飼料の開発

事業名 革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)
実施期間 平成28年度(1年間)
研究グループ
(研究終了当時)
新潟大学農学部、新潟県農業総合研究所畜産研究センター、石川県農林総合研究センター畜産試験場
作成者 新潟大学農学部(現所属:鯉淵学園農業栄養専門学校)高田 良三

1 研究の背景

現在のわが国の畜産において、濃厚飼料の自給率は極めて低い。そこで水田を有効利用した飼料用米の濃厚飼料としての利活用が期待されている。

2 研究の概要

離乳子豚用飼料中のトウモロコシを飼料用米(玄米、全量)で置き換えて、離乳子豚に給与し、飼養成績等の検討をおこなう。また、市販飼料への飼料用米添加の検討もおこなう。

3 研究期間中の主要な成果

  • 飼料中のリジン含量を十分に高くして 離乳子豚に飼料用米を給与すると、トウモロコシ給与と比べて日増体量とともに飼料効率も有意に改善される。
  • 乳製品である脱脂乳を飼料中に添加しなくても、飼料用米を給与した場合にはトウモロコシ給与と比べて日増体量は改善される。
  • 市販飼料に飼料用米を添加した場合、同時にタンパク質・アミノ酸を補給すれば飼養成績はほぼ同等の結果が得られ、かつ飼料費は24.4%低減できる。

4 研究終了後の新たな研究成果

飼料用米を離乳子豚に給与すると、重要な必須アミノ酸であるリジンを分解する酵素活性が明らかに低下し、血中尿素態窒素が低下することから、タンパク質蓄積量が増加することが示された。

5 公表した主な特許・品種・論文

  • 橋本果林 他、2019年、飼料用米を活用した離乳子豚の飼料費削減技術の開発、日本養豚学会誌、56巻1号、P1-7.
  • 高田良三 他、2020年、離乳子豚へのもちだわら、コシヒカリ給与が飼養成績・乾物および窒素消化率・血液性状・肝臓リジン分解酵素活性に及ぼす影響、日本養豚学会誌、57巻2号、P23-32.
  • Yusuke Tasaka et al., Effects of rice feeding on growth performance and protein (amino acids) metabolism in weaning piglets, Animal Science Journal, 2020;91:e13311, DOI:10.1111/asj.13311

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

新潟県内の飼料用米生産量、研究事業実施前(2015年) 1,206t

             研究事業実施後(2016年) 1,486t

(2) 実用化の達成要因

食用米の過剰生産、飼料用米生産に対する補助金および飼料用米のもつ優れた栄養機能。

(3) 今後の開発・普及目標

農協等への飼料用米粉砕機および配合機の設置資金補助。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

濃厚飼料の自給率向上および水田維持によって安心安全で、安定的な豚肉供給。

(c093) 自給飼料を用いた新規離乳子豚用飼料の開発