生物系特定産業技術研究支援センター

(c126) マナマコ資源安定化と新規需要創出に向けた実証研究

事業名 革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)
実施期間 平成28年(1年間)
研究グループ
(研究終了当時)
北里研究所、岩手生物工学研究センター
作成者 岩手生物工学研究センター 矢野 明

1 研究の背景

ナマコは中国向け乾燥・塩蔵品の輸出が盛んで、特に北海道から北東北のマナマコが高額で取引されるが、乱獲により資源枯渇が危惧され、養殖技術の確立が求められている。一方、取引価格は中国の養殖ナマコの出来高などにより乱高下するため、リスク分散のためにも国内市場の創出が必要である。

2 研究の概要

ナマコ養殖の効率化を目指し、半閉鎖循環飼育法の確立および餌の改良を行う。ナマコの国内市場開拓に向け、マナマコの有効成分サポニン(ホロトキシン)の分析法を確立し、原料調査を行う。

3 研究期間中の主要な成果

  • 稚ナマコの成長促進効果を有する新しい餌を開発した。
  • ホロトキシンの分析法を確立し、含有量の高いナマコ資源を明らかにした。

4 研究終了後の新たな研究成果

ホロトキシン分析法を用い、有効成分を損なわない新しいナマコ加工法が確立された。

5 公表した主な特許・品種・論文

PCT/JP/2018/0350588 ナマコサポニン含有エキス抽出および定量化方法 (出願人:株式会社三笑、岩手県、ISF合同会社、岩手医科大学、小野食品株式会社)

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 株式会社三笑、岩手県、ISF合同会社、岩手医科大学、小野食品株式会社が共同で、ナマコサポニン含有エキスの抽出方法を確立し、エキスを用いた食品素材中のサポニン含量の定量化手法を含む形で特許出願を行った。
  • 上記技術を実装するため、株式会社三笑では、新たに加工製造ラインを備えた新工場を設立した。
  • 小野食品株式会社では、上記エキスを含有したナマコ素材を原料とした、ゼリー製造ラインを工場内に導入した。
  • 株式会社三笑では、ナマコ加工素材の販売を開始した。

(2) 実用化の達成要因

公益財団法人岩手生物工学研究センターを中心に、実用化を目指して「知」の集積と活用の場におけるプラットフォーム「高機能ナマコ 製品研究開発プラットフォーム」を形成し、前述の企業等を含む研究開発コンソーシアムを構築するなどして、研究資金を獲得しつつ、実用化の取り組みを継続した。

(3) 今後の開発・普及目標

プラットフォームメンバーにより、新たな研究開発コンソーシアムを構築し、研究開発予算を獲得しつつ、機能性食品等の開発に取り組む。製品について、臨床試験によるエビデンスを蓄積して高付加価値化を行う。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

ナマコ養殖事業者と連携し、漁業者の利益確保とともに原料安定供給を実現しながら、機能性製品を消費者に届けることで、特に高齢者の健康維持・増進に貢献する。

(c126) マナマコ資源安定化と新規需要創出に向けた実証研究