生物系特定産業技術研究支援センター

海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略

事業名 攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業(うち経営評価及びマーケティング研究)
実施期間 平成26年~26年(1年間)
研究グループ
(研究終了当時)
静岡県立大学、世界緑茶協会、野菜茶業研究所、エヌケービー
作成者 静岡県立大学 中村 順行

1 研究の背景

抹茶は他国の追随を許さない高品質な製造技術と文化性をもち、粉末茶全体としても海外需要が急増しているが、海外における粉末茶の利用実態や求められる品質についての情報が十分に整理されていない。

2 研究の概要

そこで、海外市場での競争力をより一層高めるために、粉末茶の利用実態や輸出対応型商品の提案に基づいたマーケティング戦略を構築する。

3 研究期間中の主要な成果

  • 米国内では、抹茶を素材とした各種茶が販売され、消費者は栄養表示や原産地に高い関心を示す。国産抹茶と他国産抹茶はクロロフィルやアルギニンなどの化学成分を指標として判別がほぼ可能である。
  • 米国人の茶関係商品に求める価値は、品質を第一とし、次に機能性や価格である。食べてみたい料理は、見た目が美しく、美味しそうであり、斬新さがあり、日本の伝統を意識させる項目の評価が高い。

4 研究終了後の新たな研究成果

  • 先導プロ「海外市場の飛躍的拡大を目指す高品質抹茶の低コスト製造」のなかで「高級抹茶の特性を活かした輸出戦略の構築」として事業を発展させ、国内外で市販されている抹茶の化学的特性を解明した。
  • 海外市場における抹茶の嗜好、消費、購買特性を解析した。さらに、日本産の海外産とは異なる差別性を明らかとし販売戦略を構築し、マニュアル化するとともに海外戦略セミナーなどで広く情報提供してきた。

5 公表した主な特許・品種・論文

  • 中村順行他、海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略の構築、茶業研究報告、122、27-30(2016)
  • 「高級抹茶の特性を活かした輸出戦略」(マニュアル):静岡県立大学茶学総合研究センターホームページ

    https://dfns.u-shizuoka-ken.ac.jp/labs/tsc/

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 研究成果は、世界緑茶協会、日本茶輸出促進協議会、日本茶輸出協会などの組織・団体や、輸出しているあるいは輸出しようとしている茶業者、茶輸出業者、企業に受け渡し、求めに応じて助言を行っている。
  • 緑茶の海外輸出は平成26年度の3,516tから令和元年度には5,108tと増大するとともに、粉末茶比率も60%程度となり、本成果も少しは普及に貢献してきたものと思われる。

(2) 実用化の達成要因

国内では、輸出関連茶業者、輸出業者向けにセミナー開催や学会での情報提供、輸出業者への相談指導などを実施し、国外でのセミナー、輸出業者とともに米国内でのメッセ出展コラボなど。

(3) 今後の開発・普及目標

日本茶輸出促進協議会などを通し、令和2年度作成した「海外輸出戦略マニュアル」の周知徹底を図ること

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

本事業の成果は、月間「茶」、全茶連情報、JATAFFなどの雑誌を通じ、全国への情報発信をすることにより粉末茶の輸出に関する先導的な波及効果に貢献した。

海外市場に対応した粉末茶のマーケティング戦略