生物系特定産業技術研究支援センター
(26084C) 新たな実需ニーズに応える寒冷地・多雪地向け新需要大麦品種等の育成と普及
事業名 | イノベーション創出強化研究推進事業(開発研究ステージ) |
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実施期間 | 平成26年~30年(5年間) |
研究グループ (研究終了当時) |
長野県農業試験場、農研機構(中央農業研究センター、次世代作物開発研究センター、西日本農業研究センター、愛知県農業総合試験場、新潟薬科大学、宮城県古川農業試験場、石川県農林総合研究センター、株式会社はくばく、永倉精麦株式会社 |
作成者 | 長野県農業試験場 前島 秀和 |
1 研究の背景
六条大麦の国内主産地である北陸地域等の寒冷地・多雪地に適応する新需要大麦品種の育成と普及が実需者より求められていた。
2 研究の概要
実需者の要望に応え、北陸地域等の寒冷地・多雪地に適応する新需要大麦として、もち性大麦2品種と焼酎醸造用大麦1品種を育成し普及させた。
3 研究期間中の主要な成果
- 寒冷地・多雪地向けもち性大麦「ホワイトファイバー」及び「はねうまもち」を育成し普及させた。「ホワイトファイバー」は長野県、宮城県、「はねうまもち」は福井県で奨励品種等に採用された。
- DNAマーカー判別によるもち性大麦の遺伝子型分類を行い、大麦の「もち性」定義を提案した。その手法と定義を採用した「もち性大麦業界基準」が大麦精麦実需者団体により平成31年4月に制定された。
4 研究終了後の新たな研究成果
該当なし
5 公表した主な特許・品種・論文
- 品種登録27407 六条大麦品種「ホワイトファイバー」品種登録(H31年4月)(出願者名:長野県)
- 品種登録27408 六条大麦品種「はねうまもち」品種登録(H31年4月)(出願者名:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)
6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開
(1) 実用化・普及の実績
- もち性大麦「ホワイトファイバー」:長野県、宮城県はじめ石川県、大分県、熊本県等の合計12県で栽培され、合計で500haの栽培面積、約2000tの生産量がある(令和2年10月末現在検査数量)。
- もち性大麦「はねうまもち」:北海道から広島県で約1000haの栽培面積があり、約3000tの生産量がある(令和2年10月末現在検査数量)。新潟県では産地銘柄指定品種になっている。
(2) 実用化の達成要因
海外のもち性大麦の輸入が急増し国内消費が増える中で、迅速に品種育成を進め、品種出願前から実需者や産地との調整を進めた結果、円滑な産地化と広域普及が実現できた。
(3) 今後の開発・普及目標
越冬性や不良環境適応性等の栽培適性のさらなる向上と品質・食味を向上させ、実需者の要望に応じた普及を図る。
7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献
機能性成分である大麦β-グルカンが豊富なもち性大麦の消費拡大により、国民の健康増進に寄与できることが期待される。