生物系特定産業技術研究支援センター

(25056C) 次世代型土壌病害診断・対策支援技術の開発

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成25年~27年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
農業環境技術研究所、高知県農業技術センター、長崎県農林技術開発センター、群馬県農業技術センター、茨城県農業総合センター園芸研究所、長野県野菜花き試験場、兵庫県立農林水産技術総合センター、香川県農業試験場、三重県農業研究所、静岡県農林技術研究所、富山県農林水産総合技術センター、農研機構・近畿中国四国農業研究センター、(株)リーゾ、(株)正八つくば、(株)ウエルシード、高知県中央西農業振興センター高知農業改良普及所、長崎県島原振興局、群馬県農政部技術支援課、静岡県中遠農林事務所 茨城県県西農林事務所板東地域農業普及改良センター、香川県西讃農業改良普及センター、三重県中央農業改良普及センター
作成者 農研機構中央農業研究センター 吉田 重信

1 研究の背景

原材料等の高騰により、土壌病害の対策に使用される土壌消毒剤の使用低減を図る必要

2 研究の概要

土壌消毒剤使用の低減を図るため、使用の要否の判断基準となり得る次世代型の「土壌病害診断技術」およびその診断結果に基づき生産者の意思決定を支援する「対策支援技術」を開発し、普及機関向けの「診断・対策支援マニュアル(ヘソディムマニュアル)」を作成する。

3 研究期間中の主要な成果

  • 全国9県の各種土壌病害を対象に診断・対策支援技術を開発し、延べ14の普及員や指導者向けのヘソディムマニュアルを作成した。
  • 土壌病害の診断に役立つ菌媒介ウイルスの検出・定量法、DRC診断法、PCR-DGGE法の高度化・低コスト化手法を開発し、試験研究機関担当者向けの「診断のための技術情報マニュアル」を作成した。
  • 一部の診断・対策支援技術についての実証を民間企業が行い、それらの有効性を明らかにした。

4 研究終了後の新たな研究成果

キャベツバーティシリウム萎凋病の圃場発病ポテンシャルマップを作製

5 公表した主な特許・品種・論文

  • Ikeda, K. et al. A useful method for preparing microsclerotial inoculum of Verticillium dahliae. J. Gen. Plant Pathol. 80, 475-478 (2014).
  • Momonoi K. et al. Quantification of Mirafiori lettuce big-vein virus and its vector, Olpidium virulentus, from soil using real-time PCR. Plant Pathology 64, 825-830 (2015).
  • 長瀬陽香他.ハクサイ黄化病発生圃場におけるPCR-DGGE法に基づく土壌微生物相の多様性と発病程度との関係の解析.日植病報 81, 9-21 (2015)

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • チューリップ病害、キャベツ病害等のヘソディムが普及機関を通じて産地で導入。
  • ヘソディムの診断項目の分析を民間企業が事業化。

(2) 実用化の達成要因

作成したヘソディムマニュアルを、多くの関係者に活用してもらうためWebで公開しているとともに、本研究に参画した公設試験研究機関および普及機関職員がマニュアルの普及活動を行った。

(3) 今後の開発・普及目標

より広域でのヘソディムの実践を可能とするAIを活用した病害管理技術を開発し、土壌消毒に係るコストの1割以上の削減を目指す。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

  • 無理・無駄のない土壌消毒剤の使用で、安全・安心な野菜等の安定的供給
  • 病害防除の低コスト化による生産者収益の向上および地域経済の安定化や向上

(25056C) 次世代型土壌病害診断・対策支援技術の開発