生物系特定産業技術研究支援センター

(25060C) 太陽熱土壌消毒効果を活用した省エネ・省肥料・親環境栽培体系「陽熱プラス」の確立

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成25年~27年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
農研機構(中央研、北農研、九沖研)、和歌山県農試、長崎県農技開セ、宮崎県総農試、名古屋大学大学院、JA紀州みなべいなみ豆部会、長崎有機農業研究会、宮崎県農政水産部、宮崎県経済連、片倉コープアグリ(株)
作成者 農研機構農環研 橋本 知義

1 研究の背景

自然エネルギーを活用する太陽熱土壌消毒は、環境影響やコスト面で他の臭化メチル剤代替技術に対して優位だが、導入メリットが見えにくいこともあり、現地普及が進まない。

2 研究の概要

畝立て後消毒に適した新肥料の利用、温度記録計を利用した防除効果や養分供給効果の見える化、生物相への影響評価を組み入れた新しい圃場管理技術を陽熱プラスとして提案し、広域普及を目指す。

3 研究期間中の主要な成果

  • 消毒中の地温を計測し、土壌中の微生物(病原菌、硝化細菌、繊毛虫)に対する太陽熱土壌消毒の効果を評価した(Yokoeら2015, Muraseら2015, 越智ら2015)。
  • 畦立後消毒に対応した資材を利用した栽培体系、ハイパーCDU有機入り配合048を組み入れた和歌山型陽熱プラス、焼酎粕濃縮液資材(アミノハッピー)を組み入れた宮崎型陽熱プラスを実証した。

4 研究終了後の新たな研究成果

  • 太陽熱土壌消毒を実践される方や技術指導を担う方を対象としたパンフレット「陽熱プラス実践マニュアル」、動画DVD、技術資料集(CD)を作成した。
  • 地温計測による土壌養分可給化量およびその予測法を開発した(井原ら2018)。

5 公表した主な特許・品種・論文

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • ハイパーCDU有機入り配合048を組み入れた和歌山型陽熱プラス普及面積9ha(2020年10月現在)。
  • 焼酎粕濃縮液資材(アミノハッピー)を組み入れた宮崎型陽熱プラス普及面積5.5ha、焼酎粕濃縮液をベースにした固形タイプの資材の開発・販売が3社4資材に拡大(2020年11月現在)。

(2) 実用化の達成要因

普及指導機関、資材開発販売会社、試験研究機関が連携した普及の仕組みと責任体制の構築。

(3) 今後の開発・普及目標

太陽熱土壌消毒期間の積算温度予測法を実用化し、消毒効果の判断根拠データベースを構築することで、太陽熱土壌消毒法を組み入れた新しい土づくり技術を開発する。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

追肥作業省力化による労働時間短縮(10aあたり22時間)、土壌燻蒸剤経費削減(10aあたり6万円)等生産者のニーズを踏まえた技術普及による経済的波及効果、地域未利用資源利活用によるSDGs推進に貢献。

(25060C) 太陽熱土壌消毒効果を活用した省エネ・省肥料・親環境栽培体系「陽熱プラス」の確立