生物系特定産業技術研究支援センター

(25070C) クリのくん蒸処理から脱却するクリシギゾウムシ防除技術の開発

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成25年~27年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
農研機構果樹茶業研究部門、茨城県農業総合センター園芸研究所、岐阜県中山間農業研究所中津川支所、山口県農林総合技術センター、愛媛県農林水産研究所果樹研究センター、熊本県農業研究センター果樹研究所、京都府農林水産技術センター農林センター、大阪府立環境農林水産総合研究所、兵庫県立農林水産技術総合センター、島根県農業技術センター
作成者 農研機構果樹茶業研究部門 井原 史雄

1 研究の背景

クリのクリシギゾウムシに対する収穫後のくん蒸処理に利用されてきた臭化メチルは平成25年を最後に全廃された。そのため、代替技術の確立が喫緊の課題であった。

2 研究の概要

臭化メチルくん蒸に置き換わり、かつヨウ化メチルに頼らない技術として、収穫後の温湯処理、低温貯蔵処理、および立木防除技術を確立し、全国の様々なクリ生産条件に対応可能な技術としてマニュアル化する。

3 研究期間中の主要な成果

  • クリシギゾウムシの発生生態に基づく省力的な防除時期を解明し、立木防除による被害回避技術を開発した。
  • 収穫後の果実内幼虫の殺虫技術として、温湯処理にかかる作業時間を短縮する技術を開発、また氷蔵処理の優位性を明らかにした。

4 研究終了後の新たな研究成果

課題の中で得られた成果をとりまとめ全国の様々なクリ生産条件に対応可能な技術としてマニュアル化し、ホームページで「臭化メチル対応技術選定手順マニュアル」として公開した。

http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/074089.html

5 公表した主な特許・品種・論文

該当なし

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 茨城県では成果を踏まえて耕種的対策を進めている。 熊本県では、くん蒸処理を全廃した。岐阜県や京都府では冷蔵処理が浸透してきている。
  • ヨウ化メチルの廃止に伴い、本事業の成果が再度注目されることが期待できる。

(2) 実用化の達成要因

課題提案前に全国のクリ生産県の公設試担当者から臭化メチルの代替技術についての現状や解決すべき問題を調査し、取り組むべき課題を明確化して課題提案したこと。

(3) 今後の開発・普及目標

生産者の高齢化に対応した、ドローン等の活用による防除の自動化

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

クリの令和元年度出荷量は12,500tであり、成果の普及は我が国のクリの安定供給に貢献できる。クリは季節を強く感じる果物で、和洋を問わず多彩な菓子・料理の原料としても使用されており、クリの安定供給は豊かな食生活の維持に貢献する。

(25070C) クリのくん蒸処理から脱却するクリシギゾウムシ防除技術の開発