生物系特定産業技術研究支援センター

(25059C) 国産材を高度利用した木質系構造用面材料の開発による木造建築物への用途拡大

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成25~27年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
森林総合研究所(当時名称、現:森林研究・整備機構 森林総合研究所)、秋田県立大学木材高度加工研究所、北海道立総合研究機構林産試験場 、東京大学大学院農学生命科学研究科、日本合板工業組合連合会 、日本繊維板工業会、日本ツーバイフォー建築協会
作成者 森林研究・整備機構 森林総合研究所 渋沢 龍也

1 研究の背景

樹木は炭素固定効果を持つことから、低質な木質資源から製造される木質系面材料は、地球温暖化防止に貢献できる。特に、木造建築物に利用できる構造用面材料は使用量・耐用年数の観点から、大きな二酸化炭素吸収効果を期待できる。

2 研究の概要

林地残材等、低質な国産材を利用し、木造建築物の構造部材に使用可能な面材料を開発し、その利用技術を確立した。これにより、国産材の用途拡大を図り、木材自給率を向上させることを目的とした。

3 研究期間中の主要な成果

  • 林地残材等、低質な国産材を利用した構造用面材料を開発し、JIS規格化した。
  • 開発した構造用面材料を用いた高性能の耐力壁仕様を開発した。

4 研究終了後の新たな研究成果

  • 開発した構造用面材料を対象とした新たな材料区分をISO国際規格に提案し、BL(建築用途)等級として採用された。
  • 開発した構造用面材料を用いた高性能の耐力壁仕様が国土交通省告示に反映された。

5 公表した主な特許・品種・論文

  • 青木謙治他. 各種構造用面材料を用いた釘接合部の水掛かりに対する耐久性能評価, 木材工業 69(5), 198-203(2014)
  • 渋沢龍也他. 繊維板の材料規格, 木材工業 70(8), 330-335(2015)
  • 青木謙治他. 釘側面抵抗性能および面材張り耐力壁の面内せん断性能に対する水掛かりの影響, 木材工業 70(8), 336-341(2015)

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 開発した面材料を対象としたJIS規格の区分が新設された。
  • 開発した構造用面材料を対象とした新たな材料区分をISO国際規格に提案し、BL(建築用途)等級として採用された。
  • 開発した構造用面材料を用いた高性能の耐力壁仕様が国土交通省告示に反映された。

(2) 実用化の達成要因

薬剤を使わない環境低負荷な松くい虫防除技術に対する社会のニーズは以前より高く、また防除現場では省労力な手法が求められていた。

(3) 今後の開発・普及目標

「「知」の集積と活用の場による革新的技術創造促進事業」(うち「知」の集積と活用の場による研究開発モデル事業)において、中層・大規模木造建築物の構造部材として使用可能な国産ツーバイフォー複合部材の製造技術及び利用技術に関する研究課題を実施した(平成28年~令和2年)。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

高性能の耐力壁仕様が告示化されることで、木質構造物の耐震性能が向上し、国民の生命・財産を守ることに繋がる。木質構造物の設計の自由度が高まり、豊かな住空間を提供できる。

(25059C) 国産材を高度利用した木質系構造用面材料の開発による木造建築物への用途拡大