生物系特定産業技術研究支援センター

(25094C) ツバキ油等の安定供給と新需要開拓のための品質特性強化技術の開発

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成25~27年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
長崎大学、長崎県立大学、新上五島町振興公社、ごとう茶生産組合、長崎県工業技術センター、長崎県農林技術開発センター
作成者 長崎県農林技術開発センター

1 研究の背景

五島地域は、平成24年7月に「椿による五島列島活性化特区」に指定され、国からの支援を受けてツバキを活用した様々な地域振興策に向けて取り組むことになった。特区では、ツバキ関連地場産業の振興として、ツバキ油の売上額1.2億円(H22現在)を6億円(H29.03)、ツバキ関連商品の売上額0.26億円(H22現在)を0.6億円にすることが掲げている。今回の研究目的は、この指定申請時に掲げた目標達成に向けて試験研究の分野から貢献することである。

2 研究の概要

  • ツバキ油の品質特性強化技術の開発
  • ツバキ油の長期保存法の開発
  • 地元栽培植物の香りを添加したツバキ油の開発
  • ツバキ葉成分を活用した加工技術の開発

3 研究期間中の主要な成果

  • ツバキ油の品質特性について、油脂成分、微量成分、健康機能性について、搾油方法別の品質特性が明らかになった。
  • ツバキ油の長期保存条件では、ツバキ油の品質の変化を、保存後の酸価・安全性・官能性について試験を実施し劣化要因・安全性を明らかに、これらの結果をもとにツバキ油商品の品質保持技術として活用した

4 研究終了後の新たな研究成果

該当なし

5 公表した主な特許・品種・論文

  • ツバキ油の微量成分および焙煎による成分変化、松尾洋介ほか、日本生薬学会第59回年会講演要旨集, p 283 (2012).
  • 焙煎によるツバキ油の香気及び色の変化、松本周三ほか、日本食品科学工学会 第62回大会要旨集

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

ツバキ油の搾油方法別特性では、ツバキ油が搾油方法によって特性が異なり、商品性の違いを示し、ツバキ油の長期保存技術では、ツバキ油商品の品質保持技術として搾油所関係者に、ツバキ油の搾油方法別特性と劣化防止講習会等の開催及びマニュアルを配布することで周知した。

(2) 実用化の達成要因

五島において、これまでの研究成果が十分に生かされている状態ではないことから、引き続き講習会を開催するとともに、ツバキ油製品のパトロール等を五島列島ヤブツバキ協議会等と進めながら普及を図っていく。また、ツバキ油の原材料であるツバキ種子の生産が安定しないため、安定した商品供給が出来ていない。今後は、生産性・安定性の向上に向けての研究が必要である。

(3) 今後の開発・普及目標

各地で講習会を開催するとともに、ツバキサミットの開催など、ツバキに対する関心が高まったことにより、全国一の生産量を目指す活動が実を結んだ。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

搾油方法別のツバキ油の特性に合った利用を進めることにより、ツバキ油の商品価値を高めるとともに、消費者にとっても利用価値が高まる。

(25094C) ツバキ油等の安定供給と新需要開拓のための品質特性強化技術の開発