生物系特定産業技術研究支援センター

(25089C) これまでの事業/ヒト介入試験に基づく、もち小麦からの新食感食品開発

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成25年~27年(3年間)
研究グループ
(研究終了当時)
青森県立保健大学、青森県産業技術センター野菜研究所、アグリの里おいらせ、赤沼営農組合、アベ技研、しみず食品、戸田久、はとや製菓
作成者 梅花女子大学 藤田 修三

1 研究の背景

もち小麦は、わが国が育種したもち性澱粉を含む特色ある小麦で、加工した餅は、粘着性が低く、ソフトな食感のため、幼児から高齢者まで食べやすく、食のバリアフリーが実現できる、医福食農連携食材といえます。

2 研究の概要

研究事業では

  • もち小麦の食品機能性を活かした商品の開発
  • 食のバリアフリーをめざすもち小麦の顧客満足度研究
  • 需要に伴う生産拡大と普及啓発活動
  • の3項目を事業目標に設定。

3 研究期間中の主要な成果

  • 「餅」および「もち小麦粒(つぶ)」の店舗販売および通信販売を開始。
  • もち小麦餅の摂食・嚥下特性の解明。
  • もち小麦栽培マニュアル、もち小麦料理レシピ集を発行し、広報活動に使用。

4 研究終了後の新たな研究成果

  • もち小麦精麦法の開発。
  • もち小麦粒使用の「もち小麦おにぎり」の開発販売。

5 公表した主な特許・品種・論文

  • 特願; 2014-086602 特許名; 麺類及びその製造方法 (出願人:青森県立保健大学、アベ技研株式会社)
  • Sanpei R.et al. Video-Endoscopic Comparison of Swallowing Waxy Rice Mochi and Waxy Wheat Mochi: Improvement of a Traditional Japanese Food That Presents a Choking Hazard, Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry,78,1-5(2014)
  • 藤田修三他; もち小麦「餅」の2つの機能性, New Food Industry,57,147-53 (2015)

6 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • お餅については、冷凍で店舗及び通信販売開始。
  • 「もち小麦栽培マニュアル」 、「もち小麦レシピ集」を作成し、栽培農家への説明、消費者への普及。
  • 青森県立保健大学で「もち小麦」の精麦方法を開発し、世界初の小麦の「粒食」を実現。アグリの里奥入瀬で販売開始。

(2) 実用化の達成要因

商品開発等の需要に見合う生産量を確保できたこと、北東北でもち小麦の普及活動ができたこと、小麦を世界で初めて「粒食」できるという新たな技術開発ができたこと、等が考えられる。

(3) 今後の開発・普及目標

事業終了後、病院および福祉施設で、もち小麦は「食べやすい」食品として評価されており、医福食農連携食材としての活用、 もち小麦の食生活への定着を目標に、予算獲得を前提に今後も活動を継続したい。

7 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

本事業終了後、コンソーシアム以外の企業、研究会により、食パンの継続販売、栽培面積の拡大等の波及効果ともいえる状況が生まれている。病院や福祉施設で、食べやすい食材として利用が始まっている。

(25089C) これまでの事業/ヒト介入試験に基づく、もち小麦からの新食感食品開発