生物系特定産業技術研究支援センター

(22052) 種苗生産の早期安定化と放流効果の正確な判定によるクルマエビ類の栽培技術の高度化

事業名 農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)
実施期間 平成22年~25年(4年間)
研究グループ
(研究終了当時)
愛知県水産試験場、三重県水産研究所、水産研究・教育機構、愛知県水産業振興基金、三重県水産振興事業団、(株)日本総合科学
作成者 愛知県水産試験場 服部 宏勇
連絡先 愛知県水産試験場 漁業生産研究所 栽培漁業グループ 栽培漁業担当
電話 : 0569-65-0611
メール : suisanshiken[アット]pref.aichi.lg.jp ※[アット]を@に置き換えてください

1 研究の背景

クルマエビ類は沿岸漁業の重要種であり、これらの資源を維持・増大させるために全国各地で種苗放流が盛んに行われているが、現在のクルマエビ漁獲量は最盛期の8分の1程度まで落ち込んでおり、漁獲量を回復させるための栽培漁業技術の高度化が求められている。

2 研究の概要

種苗生産に用いる親エビの人為催熟による産卵同調化技術等を開発し、事業レベルでの早期種苗生産を行うとともに、生産された早期種苗と開発・改良した遺伝子標識技術を利用して、早期種苗放流実施による放流種苗の回収率向上を図った。

3 研究期間中の主要な成果

  • クルマエビにおいて、眼柄処理※の実施と低水温飼育条件を最適化することで産卵を同調化させる技術を開発し、人為催熟した親エビから事業規模での種苗生産に必要となる数量の受精卵を得ることが可能となった。
  • クルマエビとヨシエビについて、親子判定が可能なマイクロサテライトDNAマーカーを開発し、クルマエビの親子判定精度を向上させたほか、ヨシエビの親子判定技術を確立した。
  • i 及び ii の技術を活用した放流種苗追跡調査により、最適な放流時期を明らかにした。

※卵巣を人為的に成熟させるために眼柄(複眼を支える枝の部分)を切除する処理

4 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び今後の展開

(1) 実用化・普及の実績

  • 当研究で開発した雌クルマエビの人為催熟技術は、全国の公的クルマエビ種苗生産機関15機関のうち、13機関で利用されている。
  • 開発したDNAマーカーを用いたクルマエビ類の親子判定技術は、事業終了後においても他海域における放流種苗追跡調査に活用されている。

(2) 実用化の達成・普及の要因

研究を進めるにあたり、その分野で活躍している研究者が在籍する共同研究機関を招集するとともに、研究機関ごとに役割分担を明確化したことで、効率よく研究が進んだ。

5 開発した技術・成果が普及することによる波及効果及び国民生活への貢献

当事業の成果により、各地のクルマエビ類の種苗生産が効率化され、種苗生産経費の削減が図られた。また、成果で示すことができた最適な放流サイズや放流時期等が全国の放流事業に反映されるようになれば、クルマエビ類の漁獲量増加が期待でき、国民への水産物の安定供給につながる。

優良アコヤガイの導入等による真珠品質の向上と安定化の実証研究