生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2006年度 事後評価結果

北海道の農畜産加工副産物を原料とした糖脂質セレブロシド醗酵生産技術の開発

技術コーディネーター

大西 正男(国立大学法人帯広畜産大学)

研究参画機関

  • 帯広畜産大学(大西)
  • 日本甜菜製糖株式会社
  • よつ葉乳業株式会社
  • 帯広畜産大学(荒井)
  • (独)農研機構北海道農業研究センター
  • 日本製粉株式会社

総合評価

当初目標を達成

コメント

北海道東部で多量に生じる農畜産加工副産物のビートモラセス(廃糖密)やチーズホエー(乳清)でセレブロシド蓄積酵母を培養してセレブロシドを生産する技術を検討した。研究機関保存株からの選抜菌株をビートモラセスで、また、宮城県産乳からの分離菌株をチーズホエーで培養したときにセレブロシドを高蓄積した。これらの高蓄積株の培養法の最適化を検討した。また、培養した酵母菌体から、エタノール抽出、アルカリ分解、濃縮・精製してセレブロシド素材を生産する技術を開発した。さらに、セレブロシドの生理機能を調べ、大腸ガン細胞のアポトーシス誘導作用、大腸腺種の発症抑制作用、メラニン生成抑制効果、ヒト皮膚保湿性向上作用などがあることを明らかにした。このように、セレブロシドの生産技術を開発したことやセレブロシドの生理機能を明らかにしたことは、評価できる。
当初目標としていた、北海道の農畜産加工副産物(ビートモラセス、チーズホエー)を原料とする産業化には至っていない。今一歩の技術開発が望まれる。それには、当初予想していたセレブロシドの蓄積量の目標値、10mg/g菌体、程度の蓄積技術にレベルアップすること、および精製段階でのコストダウンが望まれる。また、精製しないで酵母菌体のままでの活用も視野に入れた製品開発が望まれる。なお、生産・精製された酵母由来セレブロシドの急性毒性や変異原性などの安全性を確認しておく必要がある。さらに、酵母のエタノール生産性を経済的な有利性として述べているが、この程度の規模ではその有利性は妥当であるとは思えない。