生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2006年度 事後評価結果

希少なキノコ新規栽培法の開発

研究代表者

大賀 祥治(国立大学法人九州大学)

研究参画機関

国立大学法人九州大学、高崎健康福祉大学、社団法人日本私立学校給食協会

総合評価

当初目標を達成

コメント

技術開発の成果として、希少なキノコである冬虫夏草菌類のセミタケの栽培法を確立し、健康機能性の高いキノコの量産システムを初めて完成させた点は、評価できる。発生した子実体の成分分析を行い,機能性成分のコルジセピンやポリサッカロイド含有量を検討し、高含有量の子実体を得ることが可能となった。
学術的な評価としては、原著論文、発表、報告等が少なく、事業戦略上、特許化を控えざるを得ない点は理解しているが、現時点では高い評価点は与えられない。子実体からの抽出液を凍結乾燥して製品化し、マウスでの急性,亜急性,慢性毒性試験を行った結果,血液検査,解剖学所見においても特段の異常は認められなかった。セミタケの子実体および製品を用いた健康機能性試験の結果,本態性高血圧を抑制する効果と腎機能障害改善作用を有し、血漿板凝集抑制作用,ケモカイン遺伝子発現抑制,美白効果などの機能性を明らかにした。セミタケ子実体の同定、毒性評価、変異原性試験および有効主成分コルディセピンの薬理効果などについては論文化できる可能性があるので、今後の努力に期待したい。
ベンチャー企業を設立したので、とりあえず起業化促進課題の評価として、目標を達成したと判断した。セミタケ製品は機能性食材として起業化への条件が整ったが、なお解決すべき課題も多いので、今後の研究を継続する必要がある。それはセミタケの大量生産を永続的に担保するには、菌株の供給体制、栽培法改善、有用成分の機能性の解明、有害成分の分析、安全性評価などの研究開発努力を継続する必要がある。