生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2006年度 事後評価結果

ダイオキシン類モニタリング用植物の実用化

研究代表者

大川 秀郎(福山大学)

研究参画機関

  • 福山大学
  • サントリー株式会社

総合評価

当初目標を達成

コメント

本研究はダイオキシンのレセプターであるアリルハイドロカーボン受容体を用いて植物体におけるモニター系を構築しようとしたものである。レポーターとなるGUS発現あるいは花色発現抑制RNAiベクターを構築し、さらに同コンストラクトを導入した形質転換タバコ、シロイヌナズナ、あるいは、ペチュニア等の園芸植物を作出するとともに、これらの植物体を用いた簡便な環境モニターシステムの実証試験を行なっている。
実際に作成された植物体を用いて、ダイオキシン類の検出が実証されており、評価系として、一定の有望性が示されている。特に、花色における検出系として、花色を強化した植物体の作成と、根におけるダイオキシンの検出を花に伝えるシステミックなサイレンシング機構の利用は、まだ、再現性が取れていないということではあるが、技術的には高く評価できる。
ただし、開放系における遺伝子組換え植物の栽培は規制が厳しくなる方向で、野外においてペチュニアを栽培し,その花色から簡易に土壌中のダイオキシンを測定することは実現が困難になりつつある。野外モニタリング用の組換え植物を用いることによる栽培基準の厳しさを考えると、今後、さらに明確な有効性を示していく必要があると考える。なお、RNAiを用いた場合、環境中でウイルス感染等によるRNAi効果の低下の危険性もあり、より実用化に向けての検討が不可欠と思われる。
従って、当面は閉鎖系温室内での定量が目指す方向と思われる。そこでは一定の施設を有する試験研究機関と専門家が必要で、ビジネスの形態としては受託測定にならざるを得ず、単独での企業というより、分析業務の一環としての受託事業になると思われる。