生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2007年度 事後評価結果

アクアガスを用いた高品質汎用食材の新規調製技術の開発

技術コーディネーター

五十部 誠一郎((独)農研機構食品総合研究所)

研究参画機関

  • (独)農研機構食品総合研究所
  • 株式会社タイヨー製作所
  • 女子栄養大学
  • 株式会社ローズコーポレーション
  • 有限会社梅田事務所

総合評価

優れている

コメント

食糧自給率が40%を切り、食の安全・安心問題が問われる時期に、新たな発想のアクアガス加熱装置という食品処理方法を開発したことは大きな意義がある。アクアガスの基礎特性とその利用法および加工技術に関して、原著論文および特許が発表・申請されており、内容が当該分野の研究に大きな影響を与えた。食材の殺菌と品質の保持は相反する技術問題であるが、アクアガス加熱装置に関しては技術開発が十分に行われ、従来の各種の方法からの優位性を明白にした点は高く評価される。また、知的財産権の取得も着実になされるとともに、その特許防御手段も検討されている。今後は、発生装置、ノズル設計などの理論的な裏付けが求められる。
中間評価の段階では共同機関の研究上の足並みがそろっていなかったが、技術コーディネーターの努力とその後の共同機関の理解が進んで、開発研究が格段に進展したものと評価できる。
食の安全・安心問題と食糧自給率の低下が大きく叫ばれる時期において、農産物などの季節性の高い食材を長期間保存させるための簡単な処理方法の開発は、極めて重要なかつ緊急性の高い課題である。アクアガスによる熱処理方法は、加熱蒸気と微細水滴の混合体という特性により、さらなる発展が可能となろう。
アクアガス加熱処理による食品が既に開発・販売されている等、コンソーシアム全体の学術的および技術開発の成果は高く評価される。その成果を新しい事業の創出に確実につなげて普及・拡大するために、適用食材と加工法の更なる検討が期待される。