生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2007年度 事後評価結果

プロテオーム解析を応用した革新的機能性食品評価法の開発

技術コーディネーター

吉川 敏一(京都府立医科大学)

研究参画機関

  • 京都府立医科大学
  • 株式会社バイオマーカーサイエンス
  • 国立大学法人名古屋大学
  • 住商ファーマインターナショナル株式会社

総合評価

当初目標を達成

コメント

生活習慣病の発症には遺伝的背景のみならず、食品を含めた環境因子の寄与が大きいため、遺伝子診断のみでは不十分である。「プロテオーム解析による予防マーカーの同定と抗体チップによるその検出が有効であろうという考えに基づいて機能性食品の信頼性の高い新しい評価法と疾病予測法を確立する」という目標に対して、いくつかの予防マーカー候補を見出すなど、評価検証法の原理の基礎を確立した点は、基礎研究として一定の評価ができる。しかしながら、予防マーカーに関して使用に耐えるだけの特異性と感度を有する抗体が得られず、当初目的とした抗体チップ測定システムの構築には至らなかった。疾患の進展に伴うタンパク質マーカーの変動を抗体によって検出するというこの戦略が、現在行われている、主に血液中の低分子物質の測定による臨床診断を補うものではあっても、これを上回る方法となり得るかどうかという点については今後に問題を残した。
また、機関間の連携に関して、国家的なプロジェクトとして取り組むべき重要な研究課題であるにもかかわらず、コンソーシアムとしての連携が不十分であり、十分に目標が達成されていない。すなわち、研究成果と実績が一部の機関に偏り、機関間の情報の共有化が十分に図られたようには見受けられない。異分野の相乗的な価値を高める努力が十分でないことは、共同開発、共著の論文が少ないことに端的にあらわれている。さらに、バイオマーカータンパク質のヒトにおける妥当性を示す臨床研究の取組みが弱く、これらの点では連携研究システムの構築に関して、なお一層の努力が必要である。