技術コーディネーター
大竹 久夫(国立大学法人大阪大学)
研究参画機関
- 国立大学法人大阪大学
- 小野田化学工業株式会社
- 財団法人日本土壌協会
- 国立大学法人神戸大学
- 下関三井化学株式会社
- 神鋼環境ソリューション株式会社
- 東和環境科学株式会社
- 国立大学法人広島大学
総合評価
当初目標を達成
コメント
下水汚泥からHeatPhos法によって人工リン鉱石を製造してリンを回収する方法と、人工リン鉱石の利用に関する一連の研究を総合的に実施し、人工リン鉱石の改質方法、原料の一部に改質人工リン鉱石を用いた加工リン酸肥料、工業用リン酸製造に関する技術開発および学術的知見が得られた、また、製造した加工リン酸肥料及び工業用リン酸は市販品と同等のものであることが圃場試験等によって実証された。しかし、人工リン鉱石と天然リン鉱石の価格差がかなり大きいこともあり、開発された各種技術はいずれもコスト面で根本的な問題を解決するには至っていない。そのため現在のところは、リン資源不足に対処し得る新たな技術として、将来活用できる可能性があるという水準にようやく達した段階であり、事業化までには、本研究で開発された技術を実用化技術としてさらに高める必要がある。しかし、今後の方向性を明確にできた点では、研究を実施した意味が認められる。
問題点として、途中で中止、変更した課題も相当数あって事前の計画に不十分さがあった。様々な役割を持たせた機関を集めたコンソーシアムであることから、事前、あるいは初期の段階で、具体的で明確なロードマップの作成を検討すべきであったと思われる。今回の経験・実績を踏まえ、何らかの形で当初目的である事業化を達成する努力が望まれる。