生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2008年度 事後評価結果

砂糖及びセルロースを原料とする酵素合成アミロースの製造と利用

技術コーディネーター

鷹羽 武史(江崎グリコ株式会社)

研究参画機関

  • 江崎グリコ株式会社
  • 三和澱粉工業株式会社
  • 公立大学法人大阪府立大学

総合評価

当初目標を達成

コメント

夢のある挑戦的なテーマを、それぞれの機関がもてる力を発揮して、調和よく研究を遂行し、一部変更はあったもののほぼ当初の計画に沿った研究開発が行われ、終了時までにほぼ初期の計画目標を達成した。すなわち、ショ糖からの酵素合成アミロースの製造法は確立した。しかしながらセルロースからの酵素合成アミロースの開発が思わしくなかったため、セロビオースから63%の収率でアミロースを酵素合成できる系を見つけ、セルロースからのアミロース酵素合成への道をつけた。アミロースのような生体高分子のin vitro 酵素合成法の学術的意義は高く、国際的にも本分野における我が国の研究レベルの高さを示したものといえよう。

ショ糖から合成された分子量分布の狭い均一なアミロースの物性は、分子量により異なること、食物繊維、ハイブリッドフィルム、生活習慣病予防効果などの性質を持つことなどを明らかにした。さらにまた、分子量の揃った均一な多糖の製造法およびその応用開発した点は、他の多糖の利用法をも広げるものと評価できる。今後は、合成アミロース製品を利用した機能性食品、化成品の開発が早急に行われることを期待する。

なお、機能面で、同じグルコースポリマー(安価に工業的に製造可能)であるポリデキストロースとの差別化がもう少しなされると良かった。