生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2008年度 事後評価結果

キサントフィルの多機能性の解明と食品素材への高度利用

技術コーディネーター

宮下 和夫(国立大学法人北海道大学)

研究参画機関

  • 国立大学法人北海道大学
  • (独)農研機構食品総合研究所
  • サニーヘルスホールディングス株式会社

総合評価

不十分

コメント

本課題は、ワカメの未利用廃棄部分を極めて安価に大量に利用し、フコキサンチンの抗肥満作用や抗糖尿病作用などの機能とその分子機構を解明し、安全性を確認した後、商品化を図ることを目的としている。フコキサンチンの機能とその機構については原著論文で発表され、特許申請も行なわれていることは高く評価できる。安全性に関するテストも、当初の目標をほぼ達成している。さらに、フコキサンチンの安定化で評価すべき成果を得ている。ただ、商品化研究は19年度開始予定であったが、20年度に至っても全く手がつけられていなかった。

当初の主原料はワカメの未利用廃棄部分であり、きわめて安価に、量的にも多く供給できるという主張であった。しかし、原料供給と製品化を担う機関が不祥事を起こし、コンソーシアムから抜けることとなり、中間評価検討会では原料供給をどうするかが評価の上で重要なポイントになった。技術コーディネーターからは、フコキサンチンの含量がワカメより多いアカモクへの転換が提案されたが、アカモクには、原料価格、商品開発後の安定供給体制、安全性の確認等、解決すべき問題が残されていると考えられた。残念ながら中間評価検討会では、こうした疑問を払拭できる説得力のある提案はなかったと判断し、本課題の中止を決定した。

しかしながら、本研究で得られた食品機能に関する諸事実、基礎的データは大変価値があり、今後の新しい展開が期待できる。今回の評価結果は残念なものではあったが、関係各位の一層のご努力を期待したい。