生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2008年度 事後評価結果

電気化学計測技術を用いた受精卵品質評価システムの開発と実用化

研究代表者

阿部宏之(国立大学法人山形大学)

研究参画機関

国立大学法人山形大学

総合評価

優れている

コメント

当初計画に沿った研究開発が着実に実施され、本事業で目的とした受精卵評価に利用可能な機器システムの構築がなされたことは高く評価される。生物系産業の中でも発生に関わる分野は、生物学的現象を定量的に、かつ、非侵襲で計測する工学的アプローチが少ない。したがって、たとえ現象的段階であっても,経験と勘の世界に、工学的アプローチを導入することの意義は大きく、さらにそれが企業活動として普及するならば、第二、第三の工学的アプローチが次々に続く契機となる可能性がある。それらが、最終的には、生物系産業の創出に極めて重要な役割を果たすことになる。

起業化については、すでに研究成果に基づく起業がされている点は評価されるが、家畜受精卵評価の分野単独では、一挙に顕著な産業創出に結びつくものではない。不妊クリニック等のヒト受精卵を扱う分野への応用も考えられているが、これらのマーケット調査が十分行われているとは判断し難く、企業として成立基盤に不透明な点もある。また、培養液等消耗品の供給体制等も課題となろう。

得られた成果の公表については、原著論文をはじめ、関連発表も数多くなされ、当該分野の研究に極めて大きな影響を与えたものと高く評価できる。