生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2009年度 事後評価結果

初乳成分の高度利用技術の開発

技術コーディネーター(所属機関)

浦島 匡(帯広畜産大学畜産学研究科)

研究参画機関

  • 帯広畜産大学畜産学研究科
  • ニュテックス株式会社
  • 帯広畜産大学原虫病研究センター
  • (独)農研機構動物衛生研究所
  • 北里大学理学部
  • 東光薬品工業株式会社東京研究所

総合評価

当初目標を達成

講評

初乳には感染から体を保護する機能物質, 免疫を強化して疾病にかかりにくい体質を作る機能物質などが含まれているが、とくにシアル酸含有オリゴ糖の新たな生理機能を解明し、その利用技術を開発することを目的としている。抗インフルエンザウィルス活性を有するトリプシンインヒビター、抗インフルエンザ活性が期待されるシアル酸オリゴ糖からの化学修飾シアログリコサイド、抗アレルギー・抗血圧降下作用を示すα1カゼインなど、様々な生理活性成分が初乳から分離され、その有効利用へのシーズが開拓された。このグリコサイドにインフルエンザウィルスの感染を阻害する活性を見出し、マスク素材に装着する技術の開発及びマスクに噴霧するスプレーに添加する技術の開発に成功した。
コンソーシアム全体としては知的財産権出願と原著論文発表が十分に行われている。
しかし、研究機関によっては、成果があがっているものの知的所有権出願あるいは原著論文発表が研究期間内に間に合わなかったところがある。
こうした成果から将来的に新事業の創出が期待はされるが、初乳の量的確保や安全性の問題、各種成分の精製コストと収率、生理活性そのものの有効性等の問題等、実用化のためには、なお解決すべき課題が残されている。今後の活躍に期待したい。