生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2011年度 事後評価結果

天蚕由来のヤママリンをリード化合物とした細胞増殖制御剤の開発

研究代表者氏名及び所属

鈴木 幸一(国立大学法人岩手大学 農学部)

総合評価結果

やや不十分

評価結果概要

天蚕(ヤママユガ)から単離・同定された新規のペンタペプチド(ヤママリン)の生理活性に着目し、昆虫成長制御剤、細胞・臓器保存剤等としての利用を目指して研究を進めた。

この結果、ヤママリンのC末端配列が活性発現に重要であること、N末端のパルミチル化(強力ヤママリン)による細胞増殖抑制効果の亢進、この効果を一層高めた「超ヤママリン」候補を見いだしたこと、また「ヤママリン」及び「強力ヤママリン」誘導体の細胞増殖抑制剤等への応用に関する特許出願が5件なされたこと等は、一定の成果が得られたものと評価できる。しかし、当初計画された「超ヤママリン」の機能・立体構造の解明、安全を重視した難防除害虫の成長制御剤の素材開発、細胞増殖制御剤の開発等には至らず、また超ヤママリン候補についてのヨトウガ由来培養細胞を用いた活性試験(成長制御活性試験)の結果、強力ヤママリンよりも活性が低かったことは生物系産業創出の観点から残念である。加えて、5研究機関が関わったにもかかわらず論文総数が7件では少し物足りない。今後は、レベルの高い雑誌への成果公表や産業化に向けた一層の取り組みを期待する。