生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2004年度 中間評価結果

環境保全型病害防除技術の核となる高スペクトル微生物農薬の開発

技術コーディネーター

竹中 重仁((独)農研機構北海道農業研究センター)

参画機関

(独)農研機構北海道農業研究センター、東北大学、(株)サカタのタネ、北海三共(株)、北海道立十勝農業試験場、アリスタライフサイエンス(株)

【研究内容】

Pythium oligandrum (PO)の微生物農薬としての実用化を目的に、主として顕著な防除効果の認められたトマト青枯れ病、ジャガイモ黒あざ病、イネ苗病害等を対象にして、POの検出定量法の確立、定着性や作用機作の解明、適応土壌の識別などの基礎的研究を進めるとともに、試験用製剤の開発、圃場における適応試験などの実用的研究を積み重ねている。

【中間評価結果概要】

環境保全の観点から減化学農薬の病害防除技術への要望が高まっている現在、本研究の内容は正に時宜に適したものである。単に従来の生物防除資材の開発技術を踏襲するのでなく、それを乗り越える微生物農薬の新規開発技術の考案が期待される。
中間時点における研究の進捗状況は、基礎的研究においては、土壌中のPOのリアルタイムPCR法による定量的検出法の確立、POによる植物の誘導抵抗性機構の解明など、当初計画で設けた目的に対してかなり高い水準の成果を挙げており、一方、実用的研究においても、低コストで大量のPO製剤の開発、多種の園芸作物やイネの病害あるいはジャガイモ黒あざ病に対するPOの防除効果の実証など、ほぼ当初計画の目的に適う水準の成果を挙げている。
ただし、各機関の相互の連携が必ずしも有機的に活かされていないきらいがあるので、今後、各機関相互の連携を強化し、研究の重点を基礎的研究から実用的研究にシフトするよう、計画の部分的修正と補強を行い、最終目標の達成を図って欲しい。また、成果の公表と知的財産権の取得についても、全体としてもっと意識的に追求する必要があろう。