生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2005年度 中間評価結果

温室効果ガス抑止のための窒素バイオマス再生・浄化システムの構築

技術コーディネーター

祥雲 弘文(国立大学法人東京大学)

参画機関

国立大学法人東京大学、有限会社日本ライフセンター、株式会社荏原製作所、学校法人東北学院大学

【研究内容】研究期間5年

家畜糞尿処理においてメタン発酵消化液の廃水処理と汚泥処理を、温室効果ガスの一つである亜酸化窒素(N2O)を発生させずに脱窒作用をもたらす好気的脱窒菌を活用した膜分離型回分式高速脱窒素装置と、超好熱即成コンポスト化システムとを組み合わせた家畜糞尿処理・再生システムを構築・実用化しようとする。

  • 実用化に向け、ラボスケールの膜分離型回分式高速硝化脱窒素装置における、N2O 発生抑止および汚泥減容に対する優秀脱窒菌(Pseudomonas stutzeri TR2 株)の添加効果を確認する。
  • 超好熱即成家畜糞堆肥化過程における科学的データの集積と微生物検討材料の提供。
  • N2O 抑止型脱窒プロセスおよび超好熱即成コンポスト化プロセスの性能を補償する 微生物の特定、分離、および同定を行う。

【中間評価結果概要】

TR2株のN2O抑制特性が実験室段階で明らかになっても、荏原製作所の研究Gのベンチスケール試験におけるMBRによる水処理実験ではN2O抑制における添加されたTR2株の生存能力が見えていない。
この問題について、MBRリアクタの実験担当側と分子生物学的手法によるモニタリング手法の開発を行っている東北学院大学Gと東京大学の研究Gの三者は更なる連携強化を図って残り2年間で総力を挙げた目標の達成を図る必要がある。
コンソーシアム内の個々の研究Gの研究成果はやや凹凸があるものの一応の成果を挙げているように見えるが、総じて強い歩みとなった研究コンソーシアムでない。これは研究G間の連携に濃淡が出たためと思われるので、技術コーディネーターの指導力の発揮不足といえる。
N2Oのみならず,CH4も解析対象として,新システム技術として開発がなされるとよいと思われる。
リボン処理による超高熱発酵といっているが,混合物が高温になるのは発酵ではなく単なる摩擦熱であって発酵による昇温ではない。
全体として研究の進捗状態はかなり悪いと言わざるを得ない。もともとインビトロの実験結果を実用規模にまで拡大するのであれば,かなり多くのステップを踏む必要があるが,それをやらないでいきなり実用プラントで実験というのは乱暴ではないかと思われる。