生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2005年度 中間評価結果

トマト機能性成分を活用した花粉症・生活習慣病対策食品の開発

技術コーディネーター

河田 照雄(国立大学法人京都大学)

参画機関

国立大学法人京都大学、千葉県農業総合研究センター、国立大学法人筑波大学、キッコーマン株式会社、日本デルモンテ株式会社、財団法人かずさディー・エヌ・エー研究所

【研究内容】研究期間5年

花粉症や高血圧などの生活習慣病は、わが国の医療費を増大させる大きな要因となり、有効な予防対策が求められている。特に生活習慣病の緩和に貢献できる健康機能性成分を含有するトマトを開発し、それを利用した食品生産の基本技術の開発には大きな期待がかけられている。遺伝子組換え法によらず、既存系統や遺伝子解析技術による先端的育種法を利用し、花粉症や生活習慣病に効果のある機能性成分を高生産するトマト系統を開発し、それらを利用した飲食料品の実用化技術を完成させ、新規のビジネスを目指す。

【中間評価結果概要】

着実に研究計画を遂行しており、一部の研究は前倒しで進んでいる点は高く評価できる。特許はほぼ順調に申請されているが、論文に関しては、京都大学以外はレベルの高い雑誌に掲載されておらず、特に学術論文での発表が不十分な機関が見受けられるので、より一層の努力を求めたい。
異分野融合の研究事業では、出口が重要であるため、材料生産・栽培法グループ、機能性評価グループ、製品化グル―プなどを作り、各研究機関の更なる連携の下に研究を進めていただきたい。また、NGC,GABA,新規機能性成分の特徴を活かした栽培法、ポストハーベスト、製品開発を行っていただきたい。特に生食を目的とする場合は単なる機能性だけでなく、美味しさや見た目も考慮した製品開発を行う必要がある。
基礎分野では、機能性判定のための評価系や機能性成分等の高精度機器分析手法の開発、新規機能性成分の検索、GABAの代謝に関わる遺伝子単離、NGC蓄積に関わるフラボノイド生合成系の遺伝子発現解析等に優れた成果が得られており、学術面での成果として期待される。一方、応用分野では、GABAやNGC高含有遺伝資源等の検索、GABA含量を高める貯蔵処理技術、NGC含量に関するQTL解析等の成果が得られているが、後半期間の研究の過程で実用的な産業技術に繋げてほしい。
製品開発分野では、GABAやNGCを高含有する品種の選定・育成、それらの栽培及び加工技術の開発等が進められているが、実用化のためには研究後半期間の取り組み強化が必要と考えられる。GABAについては、健康機能性食品分野における高GABAトマト製品の開発戦略を明確にして他製品との差別化を図り、生産コスト等の面を含めて、これに沿った品種・栽培・加工技術等の開発が必要と思われる。NGCについては、果皮に局在する成分で製品形態が限定されると考えられるが、新たなマーケット開発のためにはこれまでのサプリメント製品とは異なる斬新な商品提案が必要と思われる。