技術コーディネーター
金沢 和樹(国立大学法人神戸大学)
参画機関
国立大学法人神戸大学、オリザ油化株式会社、株式会社小倉屋山本、株式会社日本食品開発研究所
【研究内容】
昆布成分のうち、発がんモデル動物実験において皮膚がん・自発性肝がん・大腸がんの予防効果を示すフコキサンチンや、免疫賦活活性を有するフコイダン、あるいは異物吸着能を有するアルギン酸などについて、機能性と安全性を解明し、クロロフィル、塩分、砒素、ヨウ素を低減化し、同時にフコキサンチンの安定化を可能にする昆布微粉末製品を開発して消費者が安心できる新規の昆布食品を創出する。
- フコキサンチンとフコイダンの機能性の解明
- 有用成分抽出と不要物除去法の確立及びスーパー昆布の創出
- 生昆布処理法の確立とスーパー昆布を用いた食べ易い食品の開発
- 消費者ニーズのマーケット調査と昆布の好まれる食品形態の開発
【中間評価結果概要】
本事業は、一部当初目標に届かないものもあるが、当初目標を超えるものもあり概ね当初目標に達しており、全体として順調に研究が推移している。このまま順調に進展すればフコキサンチンを利用した新しい昆布の微粉末食品(スーパー昆布)の開発が期待できる。技術コーディネーターの指導力は良く発揮され、コンソーシアムの運営が適切に行われている。
コンブの高付加価値化、高価格化への取り組みを目ざしていることは認識できるが、想定されている最終製品が消費者ニーズに対応できるのかどうか、何が消費者にアピールできる必要要件かを十分に検討する必要があろう。また、目ざす製品の形態や対象消費者、消費者への訴求について、現目標で良いか否かを再確認する必要があろう。
プレスーパー昆布中の、フコキサンチン、砒素、フコイダンの測定値の提示、およびプレスーパー昆布の安定性の試験が必要と思われる。生昆布からの製品製造の原価計算を提示して欲しい。
機能性については細胞レベルでの研究にとどまっているが、研究期間後半における動物およびヒトのレベルでの研究に大いに期待したい。
なお、成果の公表について、全体では2年間で特許出願2件、原著論文5報、総説2報、解説2件、学会発表9件、新聞記事2件があり、2年強の研究期間を考慮した場合、相当努力したものと評価できるが、原著論文および特許出願に限ると若干少ないように見える。後半事業でさらに研究成果の公表,知的財産権の取得の上積みに期待するとともに、原著論文についてはIF=3以上のジャ−ナルへの投稿・掲載を期待したい。