生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2006年度 中間評価結果

最先端クルマエビ養殖技術の構築-安全・安心・健康なエビを作る

技術コーディネーター

酒井 正博(国立大学法人宮崎大学農学部)

参画機関

国立大学法人宮崎大学農学部、同工学部、国立大学法人鹿児島大学、株式会社九州メディカル

【研究内容】

養殖クルマエビの種苗生産では、現在、多くの種苗生産者がウイルス感染リスクを負い、不安定な生産が行われているため、健全な種苗の生産法の確立が強く求められている。本研究は、エビの性成熟・産卵のための配合飼料・飼育施設ならびに疾病対策という総合的な面からクルマエビを安定的に生産する養殖技術を確立し産業化につなげることを目的としている。最先端養殖技術を集結した総合的な親エビ生産・採卵システムとなる完全閉鎖循環式飼育システムを事業化し、新たな産業創出を目指す。

【中間評価結果概要】

研究期間前半の大きな課題であった、DNAワクチンの開発、LAMP法を用いたウイルス性疾病の診断法開発、小規模完全閉鎖循環式システムによる飼育試験実施、エビ消化管細菌ライブラリーの構築などの小項目については、刮目すべき大きな前進があった。しかしながら、親エビ養成のための高性能配合飼料の開発に関しては、物足りない部分が残った。
成果が著しい部分、とりわけDNAワクチンに関しては、その有効性を実証し、特許出願を行った点が高く評価できる。LAMP法による病原ウイルス検出方法の確立とその特許出願は、ワクチンの開発と相まって、「安全・安心・健康なエビを作る」研究目標達成の大きな基礎を築いた。さらに、目標以上の規模でのクルマエビ消化管細菌ライブラリーの構築は、今後の研究展開の有効な武器を得たことになり、高く評価したい。
研究期間前半で合計5件の特許出願を行った点は、大いに評価できるが、大学所属の研究者が多数を占めるコンソーシアムとしては、学術報告が9編であった点はさらに努力が望まれるところである。特許や原著論文に発表された成果の内容はできるだけ早い時期に一般誌(商業誌、業界誌)に解説記事として紹介されることを望む。計画全体としては非常に順調に進行していて、分野によっては期待以上の水準と評価した。