生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2007年度 中間評価結果

イオンビームとゲノム情報を活用した効率的な花き突然変異育成法の開発

技術コーディネーター

田中 淳((独)日本原子力研究開発機構)

参画機関

(独)日本原子力研究開発機構、キリンアグリバイオ株式会社植物開発研究所、
埼玉県農林総合研究センター園芸研究所、 東京農工大学、(独)農研機構花き研究所

研究内容

カーネーション、ペチュニア及びシクラメンの花きゲノム情報を利用した照射材料の選定、イオンビーム照射技術の高度化、遺伝子・色素マーカー等による選抜などを行い、革新的な突然変異育種法を確立する。その結果、直接的に期待される事業としては、新花色シリーズの実用化があるが、さらに、本技術を発展させるため、カーネーションやシクラメン等で明らかになった花色変異、遺伝子及び色素成分の関係を総合的に解析し、花色変異マップを作成する。また、変異の遺伝性や方向性を知ることで、より多様性に富んだ変異体や品種育成の指針を作成する。

中間評価結果概要

研究期間前半の進捗状況は、かなり高いレベルの成果が得られ、目標を達成したと評価される。特に、効率的突然変異誘発条件として、3%蔗糖濃度、炭素イオン照射線量8Gyを確立し、特許申請に至ったことや、カーネーションの輝く色調に関わる遺伝子マーカーとして新規のアントシアニン5位配糖化酵素を発見し、さらに、その新規糖供与体として安息香酸誘導体エステル類を発見したこと、シクラメンで赤紫色のデルフィニジン系色素の発見など多くの知見を得たことは高く評価される。 しかし、ゲノム情報を活用した効率的な花卉突然変異育種というタイトルに対して、どのようにゲノム情報を利用するのか、どのようにしたらどのような結果が得られるのかが明確でない。タイトルに見合った「イオンビームによるゲノム情報を活用した効率的な花卉突然変異育種法」に近づくように最善の努力をしていただきたい。
本研究ではレベルの高い成果が得られているが、終了後に販売可能な実用的品種の開発を目指しているので、単なる新しい花色を創出するのではなく、消費者がどのようなものを求めているかの動向も十分把握し、研究を進めていただきたい。