生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

異分野融合研究支援事業

2007年度 中間評価結果

家畜受精卵生体外育成用マイクロバイオリアクターシステムの開発

技術コーディネーター

酒井 康行(東京大学)

参画機関

東京大学、(独)家畜改良センター、大日本印刷株式会社

【研究内容】

マイクロ流体デバイス技術を駆使することで、黒毛和牛等の高品質受精卵を効率的に得るバイオリアクター育成システムを研究開発し、育成受精卵のウシ受胎試験での評価を行う。システムは、生体内微細環境を模倣する構造を持つリアクターがアレイ化された構造を持ち、個別受精卵の活性を非破壊的に評価しつつ育成可能とするものである。最終的には1,000個受精卵に対応したプロトタイプシステムを提示する。

【中間評価結果概要】

マイクロバイオリアクターの考案、設計、試作から受精卵培養への応用という段階が順調に進行しており、コンソーシアム全体の進捗に特段の問題は見られない。技術コーディネーターの指導も、構成機関の研究者に十分浸透しているように見受けられる。
研究進捗は順調であるが、当初の研究目的を「全世界的な乳用牛の受胎率低下の解決」と設定したことと、本コンソーシアムの成果をどのように整合させて行くかが、今後の課題であると思われる。乳牛の受胎率低下は、非常に複雑な要因によるものと考えられるので、受精卵の大量生産システムの開発が、具体的にどのような問題解決に貢献したのかを整理しながら、今後の研究を進めることが重要であろう。
一方で、非常に有望な研究成果が期待できる。たとえば、受精卵の非破壊評価技術の開発における、初期胚の分割時間や分割パターンを指標として自動化された品質評価システムは、オリジナリティが高く実用化が期待できる。
また、成果の公表の面では、原著論文数は特に優れているとはいえないが、プロジェクトの性格を考慮すれば、特許が3件出願されていることは評価できる。