技術コーディネーター
天野 良彦
(信州大学工学部)
研究実施期間
平成16年度~20年度(5年間)
研究の概要
これまで利用されなかったバイオマス資源を、植物由来の産業素材として利用するため、高効率でバイオマス成分を可溶化する要素技術を開発し、ハイブリットリアクターシステム化すると共に、変換素材を電機産業用絶縁構造材料・機能性の食品素材として利用するための応用技術を開発する。
【コンソーシアムの構成】
- バイオマスの成分抽出と酵素処理法の開発とトータルシステムの評価
<国立大学法人 信州大学工学部 天野 良彦> - バイオマス変換のための高圧水熱反応プロセスの制御技術の開発
<株式会社東芝 木下 晋> - 付加価値の高いβ-オリゴ糖類への酵素変換技術の開発
<独立行政法人食品総合研究所 柏木 豊> - β-オリゴ糖類の分画・精製および還元技術の開発
<日研化成株式会社 進士和典>
期待される成果、効果
地域のバイオマス資源を有効利用するためのバイオマス変換技術が開発される。これによって、バイオマス変換装置および変換素材(リグノセルロース、β-オリゴ糖)を電機産業用絶縁構造材料・機能性の食品素材として利用する新規事業が創出され、わが国の環境保全と資源開発問題の解決が期待される。
※ ハイブリットリアクター:高圧水熱反応リアクターと酵素リアクターを連結したハイブリット型のリアクターを意味する。
※ β―オリゴ糖:でんぷん由来のa結合した糖とは異なり、植物の細胞壁の構成成分の糖質と同様に、グルコースなどがβ結合したものをさす。強固な構造を持ち人間には消化されない糖であるので、難消化性のオリゴ糖として、機能性食品素材用途に使用できる。
※ リグノセルロース:植物の細胞壁構成成分で、ここではヘミセルロースおよび非晶質のセルロース成分を可溶化させた後に残る成分をさす。リグノセルロースの強固な構造は、電機産業用絶縁構造材料に適している。