生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2013年度 継続審査結果

表面プラズモン共鳴法を利用した食物アレルギー診断技術の開発

研究代表者氏名及び所属

柳瀬 雄輝(広島大学大学院医歯薬保健学研究院)

継続審査結果概要

本研究は、最初の3年間で微量の血液から迅速に好塩基球を分離・固定し、多種類の抗原に対する生細胞の刺激応答を同時に評価できる多チャンネル型表面プラズモン共鳴イメージング(SPRI)装置により個体のアレルギーを診断する方法を開発することを目的として実施した。その結果、第一段階として磁気ビーズ細胞分離法により数百 μlの血液から出発して短時間で好塩基球を30%まで濃縮する方法を開発し、第二段階として磁気粒子練り込み型細胞分離マイクロ流体チップを開発してさらに好塩基球を92%まで濃縮することに成功した。また、数百μlの微量血液による診断が可能な、コンパクトにまとめられベッドサイド化したSPRI法自動アレルギー診断装置のプロトタイプを完成する等、当初の目標を達成した。さらに、論文発表や特許出願を積極的に行い、本研究成果により2件の学会賞を受賞した。

今後の「研究延長計画」はこれまでに開発に成功した要素技術(細胞分離チップ、1細胞SPRI解析ソフト、患者ストック血清を利用した診断、マルチウェルチップなど)の「高機能化」とその「システム化」を中心とし、数年後の商品化を目指した内容であり、明確な目標のもと立案されている。しかし、自動アレルギー診断装置のプロトタイプをすでに完成させたことは高く評価されるが、食物10種類に対するアレルギーの測定は未達成なので、今後は食物アレルギーに重点を置いて頂きたい。研究実施体制はこれまで通りの生物学的研究と機器作製との分担で、うまく協力し遂行可能な形で計画されており妥当である。このグループのこれまでの研究遂行能力からして、このグループに更に2年間の研究を進展させる環境を整えることが必要であると考える。以上、本課題の「延長研究計画」の目標の達成は可能であると判断し、研究の継続を承認した。