生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2010年度 終了時評価結果

全アミノ酸同時計測用バイオチップの開発

研究代表者氏名及び所属

釘宮 章光(公立大学法人広島市立大学社会連携センター)

総合評価結果

やや不十分

評価結果概要

本研究はアミノアシルtRNAシンセターゼ(ARS)の酵素反応によって生成するアミノアシルAMPまたはピロリン酸の濃度を測定するという、新規性の高い方法によってアミノ酸濃度を測定する簡便な方法を開発することを目的とした。

この原理に基づいたいくつかの方法を試みたが、このうちマイクロプレート上での反応を利用した方法は、いくつかの欠点はあるが測定感度が良好であり、12種類のアミノ酸について数μM~15あるいは100μMの濃度で選択的に定量可能であることを明らかにした。

このように、望まれる濃度域での選択的なアミノ酸の検出定量を可能とした点は、全アミノ酸の同時簡便計測実現の第一歩であり、さらに反応系の小型化を図ることによって実用的な方法へ進化させることが期待できる。今後そのマルチ計測化が進むことが予期できることから、研究意義はあったと認められる。成果は、科学的価値の観点から一定の水準に達するものであるが、数値目標として設定した20種類のアミノ酸測定、3~5種類のアミノ酸濃度の同時測定には至らなかった。

本研究は、食品産業に役立つ研究結果が得られ、特許化への取り組みもなされており、実用化に向けた加速が望まれる。情報発信については、論文発表は行っておらず、特許出願の他は学会発表が主であり、早期の学術論文の掲載発表が待たれる。