生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2010年度 終了時評価結果

環境負荷低減技術によるキチン系バイオマス資源の高度利用

研究代表者(所属機関)

戸谷 一英(独立行政法人国立高等専門学校機構一関工業高等専門学校)

研究参画機関

独立行政法人国立高等専門学校機構一関工業高等専門学校
株式会社アーステクニカ
焼津水産化学工業株式会社
静岡大学農学部
京都大学大学院生命科学研究科
城西大学薬学部

総合評価

当初目標を達成

講評

コンバージミルによる粉砕というケミカルエンジニアリング的な要素と、新規糖加水分解による分解という生物化学的な手法を、巧みに組み合わせることにより、従来よりも格段に効率よくジアセチルキトビオースを製造するプロセスの開発に成功した。また、このような原材料の調達における優位性を活かし、有用オリゴ糖や有用合成中間体、各種生理活性物質の創生へと研究を展開した点も評価される。
3年間の研究実績として特許出願6件が出願された。査読付論文数は3件とやや少ないが、多数の学会発表がなされ、それらのうち4件に授賞があり、学術的にも評価されている。
しかし、実用上国内で産業的な規格に合うカニ殻、エビ殻を大量に集めるにはコストがかかり、また、粉砕前の全処理、アレルギー表示をクリアーするための原料段階での精製、最終製品でのN-アセチルグルコサミン、キチン二糖の純度、アレルギーフリーの証明が求められる。微生物発酵によるグルコサミンと対比してコスト競争力があるのか。キチン二糖やキチンオリゴ糖は魅力的な素材であるが、従来の皮膚、関節、骨の領域への展開を想定するのであれば、さらなる安全性試験が必要であり、有効性研究はまだ緒についたばかりである。今後の発展を期待したい。

費用対効果は、研究計画に計上された研究費が適切に使用されており、妥当と判断される。