生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2011年度 終了時評価結果

高品質な農林水産物・食品創出のための質量顕微鏡技術基盤の構築

研究代表者氏名及び所属

財満 信宏(近畿大学 農学部)

総合評価結果

極めて優れている

評価結果概要

本研究では、高品質な農林水産物・食品創出のための質量顕微鏡の基礎的な技術基盤を構築し、農林水産物への応用的なアプリケーションの提示と機能性食品がターゲットとする疾患に関する新規知見の発見を目的とした。質量顕微鏡技術の農林水産物へ適用はこれまでになく、本技術における試料調製法の最適化とデータ解析法、およびそれらを基盤とした広範な農林水産物への適用実践は特筆すべき成果と言える。特に、化合物の質量をプローブとした可視化(イメージング)技術によって、新規成分を見いだしたことは、今後、農林水産物の機能性を考慮する際の有用な化合物情報となろう。また、組織における成分の役割解析の段階には至っていないが、農林水産物では機能性成分の局在について多くの新規の知見が得られ、ヒト・マウスの疾患組織において脂質の分子種レベルでの可視化による新たな代謝異常を見いだし、またラットでは動脈瘤のモデルの作出にも成功しており、当初の計画を超えた十分な成果が得られていると判断する。今回構築した基盤技術は化合物の分布・動態解明に有用なものとなり、成分育種等への情報提供、メタボローム解析による産地判別、機能性成分の生体動態解析等により生物系特定産業への貢献も期待できる。また、研究成果として多くの論文を公表したことも高く評価できる。