研究代表者氏名及び所属
小早川 高(大阪バイオサイエンス研究所)
総合評価結果
当初計画通り推進
評価結果概要
本研究は食欲制御技術の確立を目的としたものであり、このための解析系の開発をはじめ、「食品の嗜好性を高める匂い分子の同定」という目標は達成した。さらに、基礎研究の側面から、嗜好性の上昇・低下などの食欲制御の情報が嗅球内の特定の部位にコードされていること、また、全種類の嗅覚受容体をクローニングして匂い分子に対する応答をスクリーニングし、嗅覚受容体を2種類の機能カテゴリーに分類できる可能性を見出した研究結果は興味深い。神経回路改変マウスの作製、嗅覚受容体発現系の構築は、有用な実験ツールとして嗅覚科学の進展に貢献するものと考えられる。このように、本研究は全体的に技術的および学術的なレベルが高く、ほぼ計画通りの成果が得られており、意義のある研究であると評価する。今後、香料など匂いをとりまく産業に大きなインパクトを与えることが期待できる。さらに、本研究で開発されたコンディショナルノックインマウスを用いて研究を補充することによりデータを蓄積し、より高いレベルの研究として発展されることを望む。