生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2011年度 終了時評価結果

プロテオーム解析情報を基盤とした高品質和牛生産システムの開発

研究代表者氏名及び所属

松本 和也(学校法人近畿大学)

総合評価結果

当初目標を達成

評価結果概要

本研究では、黒毛和種牛を対象として、肥育牛における優良枝肉形質を予測する肥育バイオマーカー及び優良枝肉形質に関与するSNPマーカーについて、開発とその組み合わせの決定、SNPマーカーと肥育バイオマーカーを併せた高品質和牛生産システムの開発並びに肥育過程の血清をサンプルとする肥育バイオマーカータンパク質の多項目同時モニタリング評価システムの開発の3課題を目標とした。

そして、枝肉形質や脂肪酸組成等の肉質形質と相関を持つ新規バイオマーカータンパク質100個を同定し、3件特許出願した。黒毛和種の優良経済形質バイオマーカータンパク質の肥育試験における実証評価として、食肉センターの肥育牛の肉片及びと畜時血液並びに特定肥育牛の経時的採血した血液のプロテオーム解析を行い、肥育バイオマーカータンパク質を開発し、経時的モニタリング評価システムを実践評価することで効率的な肥育管理方法の基盤を構築した。

また、高度プロテオミクス解析支援データベースを構築し、タンパク質の発現量から複合的な相互作用ネットワークを検出するデータマイニングアルゴリズムを開発し、これらを実データに適用、複合的な相互作用が推定されるタンパク質の組み合わせを多数得ることに成功した。

以上のとおり、研究目標を達成し成果を挙げた。今後、基盤システムを基に両マーカーを組み合わせ体系化した肥育牛の総合診断技術の開発が期待される。

今後は、実用化に向けての更なる努力が必要である。すなわち、SNPとバイオマーカーによる予測精度は実用化に当たって高いものが求められることから、本研究で開発したSNPとバイオマーカーに加え、更に新たに多数のSNPやバイオマーカーを開発し、それぞれ最適の組み合わせや最適の組み合わせ数を決定し、実用化を目指すことが望ましい。また、バイオマーカーの機能性解明は重要であり、これには今後更なる努力も必要である。