生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2012年度 終了時評価結果

エピゲノム情報制御を基軸とする新たな植物育種技術の創出

研究代表者氏名及び所属

高山 誠司(奈良先端科学技術大学院大学)

総合評価結果

優れている

評価結果概要

本課題は、植物の新たな育種技術の開発をめざすとともに、その基礎となる、DNAの塩基配列の変化を伴うこと無く遺伝子の発現に重要な機能を担う、エピゲノム情報制御のメカニズムを解明しようとする研究である。研究の結果、アブラナの対立遺伝子間の優劣性発現のスイッチとなるDNAのメチル化機構の解明、シロイヌナズナのエピゲノム制御を介した種子形成機構の解明など世界をリードする極めて科学的価値の高い成果を得た。本研究によって解明された対立遺伝子の優劣性の制御機構は、動物を含む幅広い生物において働いている可能性があり、今後、この分野の研究に大きなインパクトを与える可能性がある。このことから、本研究で実施された基礎的研究は、当初の計画を上回る成果を上げたものと高く評価される。また、この成果を活用したハイブリッドナタネ育種法や種子のバイオマス制御法の開発の研究においても、当初計画に近い成果を得た。なお、研究成果の情報発信に関しては、総説の発表、シンポジウムの定期的な開催等は評価できるものの、原著論文が3編と少ない。未発表の研究成果も科学的に極めて質が高いことから、早期の論文発表が強く望まれる。なお、特許出願は1件であるが、種子生産性が高い自家和合性のF1雑種ナタネを得る方法に関するものであり、今後のナタネ育種やその他の生物系特定産業の技術開発に大きく貢献することが期待される。