生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2012年度 終了時評価結果

抗菌ペプチドを利用した食中毒原因微生物の高感度検出技術の開発

研究代表者氏名及び所属

相沢 智康(国立大学法人北海道大学)

研究参画機関

国立大学法人北海道大学
日本ハム株式会社

総合評価結果

優れている

評価結果概要

本研究では、抗菌ペプチドを微生物検出用標識プローブとして利用した食中毒原因微生物用の高感度迅速検査システムの開発を目的として、現在広く用いられている捕捉抗体と検出抗体によるサンドイッチ抗体検出法をベースに、検出抗体に代えて標識導入した抗菌ペプチドを検出用プローブとして利用して検出の高感度化を目指し、従来の抗体のみによる検出系を凌駕する多検体同時検出が可能な新たな検出系の開発に取り組んだ。

菌体親和性に優れた変異型ペプチドの構築に成功し、組換え大腸菌によるペプチドの大量生産フローを確立し、発酵条件の検討による生産の安定化を図り、クロマト法による単離精製技術を開発して安価なペプチドの供給体制を構築した。これらの技術開発を短期間に達成し、微生物検出キットの実用化検討に大きく貢献した。また、抗菌ペプチドを検出プローブとして用い、膜上に固定した捕捉抗体とサンドイッチすることで微生物を迅速かつ簡便に検出可能なサンドイッチ発色法及び迅速簡便で実用性の高いラテラルフロー法を開発した。さらに、複数菌株の同時検出が可能なマルチプレックスラテラルフローの開発に成功し、特許出願するなど独創的かつ実用的であり高く評価される。本成果の実用化が進めば、短時間で複数の食中毒菌の検出が可能となり、原料、工程、製品の出荷前検査等に幅広く利用されることが期待される。

なお、抗菌ペプチドプローブ研究において世界的なイニシアティブを取るうえでも、迅速に複数の原著論文を執筆し、広く研究者に成果を発信することが強く望まれる。