生物系特定産業技術研究支援センター 研究資金業務

イノベーション創出基礎的研究推進事業(終了)

2012年度 終了時評価結果

受精卵移植産業の形成を目指した種豚導入・生産システムの構築

研究代表者氏名及び所属

吉岡 耕治((独)農研機構 動物衛生研究所)

研究参画機関

  (独)農研機構 動物衛生研究所
  (独)家畜改良センター
  神奈川県農業技術センター 畜産技術所
  株式会社機能性ペプチド研究所
  佐賀県畜産試験場
  愛知県農業総合試験場畜産技術所
  (地独)北海道総合研究機構農業研究本部畜産試験場 

総合評価結果

優れている

評価結果概要

本研究では、これまで技術の普及に困難が多かった豚胚を対象として、経験豊富な各分担機関のこれまでの実績を発展させて家畜増殖に関する基礎的研究を進め、受精卵移植産業の形成を目指した種豚導入・生産システムの構築を図ることにより、生産現場での普及について実証事業を推進した。

技術的な成果としては、豚胚の完全合成ガラス化保存液キット及び胚輸送液を開発・試作し、製品化の目途をつけた。また、豚胚のガラス化保存液とガラス化保存用器具の組み合わせによる非外科的胚移植により高率な子豚生産技術を確立するとともに、高い生存性を示す豚胚輸送システムを構築した。最終年度には生産現場での普及を目的に2機関を新たに加えて、技術システムの改善と事業成果の普及の実績もあげている。こうした研究代表者の実用性を見据えた研究姿勢と指導力は高く評価できる。開発された豚胚の完全合成ガラス化保存液キット及び胚輸送液は、製品化には達していないものの、胚移植による種豚導入・生産システムを提示するという目標は達成している。今後は、完全合成ガラス化保存液キットと胚輸送液の製品化とともに、非外科的胚移植技術を実用化レベルまで高め、さらに、事業として展開するには、構築したシステムの周辺技術の改良も合わせて行う必要があろう。

学術的には、動物衛生研究所を中心とした各参画機関が5報の原著論文を国際誌で公表するとともに、口頭発表等を通じて成果の公表と普及に努めた。ガラス化保存胚関連の成果については、原著論文による公表を期待したい。

俯瞰して、本研究における実績は、学術面のみならず生物系産業創出への寄与という観点からも優れており、費用対効果は十分なレベルと判断される。