研究代表者氏名及び所属
村田 稔(岡山大学 資源植物科学研究所)
評価結果概要
本プロジェクトでは、シロイヌナズナとタバコを材料に、人工染色体の構築技術を開発し、その研究結果を応用し、イネにおいて人工染色体を創出することを目指している。
シロイヌナズナを材料とするミニ環状染色体の人為的誘導を基盤とするトップダウン法については、ほぼ予定通りに研究が進捗しているものの、タバコを材料とする人工染色体を組み上げるボトムアップ法では、未だ細胞内でのミニ染色体の確認には至っていない。この点は、本プロジェクトの進捗状況を考える上で最も重要な点であり、早急に人工染色体の確認を行うべきである。
今後の方向性として、特にボトムアップ法において、新規なアプローチが提案された。これらのアプローチは大変興味深く、科学的に価値があると考えられるが、中間目標を達成できていない現時点においては、ひとまず現在の手法で、多くの形質転換タバコ系統を作出して人工染色体の有無を確認すべきである。ボトムアップ法によるタバコ人工染色体の創出が確認されるまでは、その目標を早期に達成すべく、当初計画通りの方法で研究を遂行して欲しい。現状のタバコ人工染色体は、あと一息のところまで来ているので、従来の計画通りの研究が近道である。
本研究プロジェクトが扱っている内容は、国際的競争も激しく、特許などの側面からも研究をスピーディーに行うことが必要不可欠である。そのような中、本研究プロジェクトでは効果的な研究実施体制が整っており、今後の計画が順調に遂行され、世界的にも国内的にも有意義な成果を生み出すことが期待される。全体としての当初計画はかなり明確なものであるので、これらの点を考慮しつつ、速やかに今後の展開を図ることが重要である。