生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2000年度 事後評価結果

CO2固定細菌を利用した地球環境修復システムの構築

(大阪大学大学院工学研究科 森川 正章)    

評価結果概要

全体評価

本課題は、CO2固定細菌(HD-1)を利用してCO2固定等、地球環境修復の新しいシステムを構築しようとするもので、今日的かつ重要性の高いものである。これまでHD-1株のCO2固定能、CO2固定に関わる代謝経路の解明とこれに関わる酵素の発見のほか、新規微生物の探索と評価を進めた。しかし、課題名に照らすと目標をクリアする成果が得られたとは言い難い。

中課題別評価

(1)CO2固定細菌を利用した地球環境修復システム
(大阪大学大学院工学研究科 森川 正章)    

CO2固定細菌HD-1を中心にCO2固定、石油合成・分解機構の解析という主要テーマに拘わらず、CO2固定経路の部分的な証明など基礎研究レベルでの成果の積み重ねに終わったといえる。大きな成果は、低温や高温で石油代謝に関わる新規微生物を見いだしたことであり、今後の研究に有用である。

(2)微生物の多彩なCO2代謝機構に関する基礎研究
(京都大学大学院工学研究科 跡見 晴幸)    

本課題は研究4年目から追加されたものであるが、超好熱始原菌(古細菌)にこれまでより高い活性を有する新型Rubiscoの存在を発見するなど一定の成果を得たことは評価できる。しかしながら、中課題1との関係で最終目標に具体的に貢献するまでに至っていない。今後、特異タンパク質複合体構造と機能の関係の究明に期待したい。