(日立製作所 基礎研究所 古谷 雅樹)
評価結果概要
全体評価
総括研究代表者のリーダーシップにより、各中課題の研究者と研究場所が離れている割にはまとまりが良く、研究が一つの流れにそって進められている点は評価できる。本研究による植物のフィトクロムに関する学術上の意義は大きい。もう少し、応用に向けての積極性が欲しかった。
中課題別評価
(1)フィトクロムの分子種特異的な光スイッチ機構の解明と応用
(日立製作所 基礎研究所 古谷 雅樹)
フィトクロムの光捕獲の多様性を導く新知見などは高く評価されてよい。フィトクロムの構造と発色団との関係についての研究成果も今後の応用に向けた基礎研究として評価したい。また、FDD法によるフィトクロム依存遺伝子の単離法も本プロジェクトのために開発されたもので評価したい。
(2)光応答に関与するシグナル伝達機構の解明と応用(H8-10)イネのフィトクロム機能の解明と応用(H11-12)
(農林水産省 農業生物資源研究所 高野 誠)
中間評価を踏まえて目標をイネのフィトクロムに絞ることにより新しく作成されたミュータントパネルを用いてイネのPhyC突然変異体を分離することができた。また、PhyAが冠根の重力屈性に関与していることを発見するなど、まずまずの成果を上げている。
(3)光応答遺伝子のエンハンサートラップ法による単離と応用 光シグナルの長距離伝達系の研究(H11-12)
(京都大学大学院理学研究科 長谷 あきら)
中間評価を踏まえて、中課題名を光シグナルの長距離伝達系の研究と変更し、目標を光シグナルの長距離伝達系に絞りこんだ。プロモータートラップ法を利用した実験系を立ち上げ光やホルモンのシグナル伝達に関与する遺伝子を単離し、また、子葉のフィトクロムの反応により胚軸の伸長が制御されることに関し、オーキシンとの関係を検討するなどの業績を上げた。