生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2000年度 事後評価結果

生物資源の低投入型生産機械システムの基礎研究

(京都大学大学院農学研究科 梅田幹雄)    

評価結果概要

全体評価

本研究は、当初「 新生物資源生産・変換のための機械・装置に関する基礎的研究」というテーマの下、8小課題を擁し、きわめて広い範囲をカバーする研究としてスタートした。しかし、中間評価の結果、表記の研究として縮小再編成された。その結果、研究内容が、著しく応用、開発に偏り、基礎研究推進事業としての適格性に疑問を呈する意見もあった。
研究の成果としては、(1)1人の作業者が操縦するコンバインを2台の無人車が追走する収穫機の群管理システムと農道縁や障害物を認識しつつ自律走行する制御方式の異なる2種類の無人運搬車の開発・試作、(2)低投入生産を可能にするための、圃場のメッシュ土壌マップ、開発した収量センサーを用いたメッシュ収量マップ、近赤外、赤色及び緑色光の反射率から得た植生指数(稲体窒素含量)マップの作成(3)これらのマップを用いて要追肥量を計算し、新たに試作したGPSに基づいて位置決めする可変施肥機による追肥で、施肥量の調節と総量の削減、収量の均一化が可能であることを検証等である。
本研究の性格上、学術的な成果に見るべきものがないのはやむを得ないとして、(1)夫婦2人で100ヘクタールを経営するというやや現実離れした想定のもとに研究が行われていること,(2)今後の研究展開に有益な知見がそれなりに集積されたとはいえ、経済面からの検討を欠くこと、(3)開発されたシステムや機械のデータが、ごく限られた走行条件の下でしか得られておらず、実用化までには、多くの基本データを積み重ねた上、機械メーカーとの共同研究による開発研究が不可欠なこと、(4)圃場や収量のメッシュマップにしても実用可能な作成手法の提案がないこと、(5)可変追肥の効果も単年度単一圃場の結果に留まることなど多くの問題が指摘され、実用化研究としても、中途半端である。
成果の発表も掲載紙のレベルが低く、工業所有権の出願実績もない。