生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2001年度 事後評価結果

超単分散性マイクロスフィアを用いた新規な分離場および反応 場の構築に関する基礎的研究

((独)食品総合研究所 中嶋光敏)

評価結果概要

全体評価

  •  本研究は、今後、食品や医薬品等の分野でますます需要の拡大が予想されるマイクロスフィア(MS:エマルション、微粒子)について、その 使用目的に応じて、サイズなどの制御が可能で、かつ、サイズの均一性や安定性にも優れた単分散エマルション等の作成技術の開発を目指して行われた。
    また、研究の実施に当たっては、最先端の微細加工技術を用いて形状やサイズの異なるマイクロチャネル(MC)やモジュールの試作・検 討、エタノール・油脂・機能性成分などを用いた様々なMSの作成と特性の解析など、基礎と応用の両面からの研究がなされた。
  • 研究の結果、μmオーダーの微細流路をもつシリコンMCや洗浄・再生が容易なステンレスMCなどの開発により、長期間安定な3~100μmサイズの単分散エマルションや20~210μmサイズのO/Wエマルション(水中油滴MS)の作成などに成功したほか、作成速度の点で優れた長方形状の貫通型MCの開発、分散相・連続相に各種の素材を使用して、様々な種類・機能をもったMSの作成にも成功している。また、これらの開発の過程において、MSの特性や生成機構に関する重要な基礎的知見も数多く得られている。
    これらの成果は、既存の技術より優れたMS作成技術として、今後実用化に向けて広く役立つ成果であると考えられ、また、基礎研究成果としても、今後のMS研究の展開に有用な成果が多く得られており高く評価できる。
    なお、研究全体をみた場合、多少分散していると思われる面もあるが、広範な視点からの検討がなされており、研究目標もほぼ達成しているといえる。
  • 今後は、本研究で得られた成果を基盤にしてより深化した研究の展開を図るとともに、本成果が食品科学、製薬科学等の広い分野で十分活用されるように、技術と製品に一層のリファインが行われることを期待したい。