生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2003年度 事後評価結果

進化工学手法によるシロアリセルラーゼの改変と高効率セルロース糖化系の開発

((独)農業生物資源研究所 渡辺 裕文)

評価結果概要

本研究は、基礎的研究である小課題(1)と、その応用的研究である小課題(2)で構成されている。(1)に関しては、シロアリ類のセルラーゼ遺伝子を幅広く検討し、動物由来のセルラーゼ遺伝子の分子系統と種の系統分類の関係についての新たな知見を得、昆虫内源性セルロースと腸内原生動物産生セルロースの機能の相違に関する新知見を得るなど、当初の目的に達し、また、当初計画にはなかった甲虫類のセルラーゼにまで手を伸ばしたという点では、目標以上の成果を挙げたと見ることができる。これと対照的に、小課題(2)については、改変とその評価の仕方の検討に大部分の時間をとられたこと、その結果得られた酵素の実用的価値を評価する段階に至らなかったことなどを勘案すると、当初の目的を達成できなかったと評価せざるを得ない。学術的にシロアリ類に関連するセルラーゼの性質を明らかにした点は評価できるが、現時点では技術開発に向けた研究・産業への波及について期待できない。