生物系特定産業技術研究支援センター

新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業

2009年度 事後評価結果

臓器老化モデルマウスを用いた機能性食品物質の科学的評価

(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 清水 孝彦)

総合評価結果

当初計画どおり推進

評価結果概要

骨格筋特異的Mn-SOD及びCuZn-SOD臓器特異的ノックアウトマウスを用いたアッセイ系については機能性食品評価の分野で極めて価値の高い研究として評価できる。
貧血や骨密度の改善に有効な2品目や13品目の有効成分を選定している。さらに得られた有効成分については作用機序を究明するために精力的な実験を行ない多数の価値ある知見を創出した点を賞賛したい、しかし作用メカニズム解明においてはようやく端緒についたばかりであり、決して解明には至った訳ではない。
さらに有効成分については作用機序を究明するために精力的な実験を行っている点を賞賛したい。これらの品目は新規素材ではなかったが、既存成分であってもその科学的特性について基礎的データを積み上げる姿勢は高く評価できる。
また、本研究は各種老化症状の根本的原因をSOD活性の低下と仮定し、それを機能性食品摂取で根本的に改善することを目指した研究であるが、結果的には個別の疾患の対症療法的な応用に発展してきているように感じられる。
各症状毎に効果のある物質が異なり、オールマイティーに効果のある抗酸化物質は得られないという結果になったのは非常に残念であった。
現在のところ特許出願については1件もなされておらず、取り組み姿勢がみられない点も残念であった。 研究成果の実用化を考えると、ヒトにおける効果検証試験の実施以前に、SOD欠損マウスを用いない現実的な動物老化実験によりその作用の有効性を確認すること、過去の疫学調査の結果を検討すること、安全性評価試験など、行うべき課題は多々あると思う。
いずれにせよ、メカニズム解明をしっかり行ない、本プロジェクトの目標を完遂して欲しい。そうすれば、生物系特定産業のみならず医学分野など社会・経済への貢献も充分成し得る事が期待できる。